ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

「推理の時間です」(講談社)

雑誌メフィストの有料会員向けに行われたオンラインイベントが発端となり、

メフィスト誌上に掲載された読者参加型の謎解き企画を一冊にまとめたもの。

面白いのは、寄稿された作家さんご自身も、他の作家さんの問題編を読んで

推理し、解答しなければいけないところ(全部の作品ではないけれど)。プロの

作家さんの解答部分を読むのも楽しかった。全く見当ハズレの推理をしている

方もいれば、概ね当ててしまう強者もいたり。さすが、読み取り方がプロは

違うな~と思えるご解答ばかりでしたけれどね(当たっていても、いなくても)。

まずは、六作品、すべての問題編が提示され、その後にすべての解答編が収録されて

います。一作ごとに解答編を読むのもよし、すべての問題を先に読んでから解答編を

読むのもよし。読み方はそれぞれだろうなと思いました。私個人としては、収録通り、

すべての問題編を読んでから、一気に解答編を読みました。え、推理出来たものは

あったのかって?

・・・あるわけないでしょ(笑)。ミステリー小説が大好きな人間ですけど、

推理なんか出来た試しはないんですから(開き直るなよ^^;)。躊躇なくさっさと

解答編のページをめくったのでした。

一作だけ、犯人当てられた!と思ったものがあったのですが、そう思ったのも

束の間、その先があって、結局二択でハズレてしまいました。やっぱり、プロの

作家さんの挑戦状をそう簡単に見破れるはずがなかったのでした(苦笑)。

問題編は、『フーダニット(誰が)』『ホワイダニット(なぜ?)』『ハウダニット

(どうやって?)』の三部門に分かれていて、寄稿した作家さんご自身もおっしゃっ

ていたけれど、ホワイダニットの問題編を考えるのはなかなか大変そう、と思い

ました。でも、解答編が一番わかりやすかったのは、そのハウダニットの中の

我孫子さんの一作だったな。ただし、わかりやすかっただけに、他の作家さんから

も結構当てられてしまっていたけれど。私はまったくわからなかったけどね!(

だから開き直るなって^^;)。

後半の三作は歴史が絡んだミステリーだから、歴史物が苦手な私にはちょっと

読むだけでも骨が折れるところがありました。説明部分が長くて、読んでると

すぐに睡魔が襲って来てしまって^^;そんな状態だから、当然ながら推理なんて

できるはずもなく。

ただ、久しぶりに田中啓文氏のミステリーが読めたのは嬉しかったなぁ。編集

担当であり寄稿者の一人でもある法月(綸太郎)さんもおっしゃっていたけれど、

どうか、永見緋太郎シリーズの新作を出して欲しいっ!素晴らしいジャズミステリ

で、大好きで、ずっと続編出ないのかなーと思っている作品なので。近年はホラー

寄りの作品が多くなってしまったイメージがあって、ミステリを書かれていない

ように思うのですが、そんなことないのかな。

法月さんの作品は、一部読者に開示していない設定があって、動機の面から推理

するのは無理に思えて、若干アンフェアに感じたのですけどね。まぁ、フーダニット

がテーマだからいいのかもしれないですけども。

方丈貴恵さんは初めて読みましたが、館ものの王道ってことで、一番好みの作風

だったかも。先述した、二択で犯人間違えた作品はコレ。犯人に関しては、完全に

スリードされてましたね~。まさかの身体的設定が・・・。

我孫子武丸さんのは、こちらも先述した通り、一番謎解き部分読んでわかりやすい

解答編だった。コロナ禍でマスク生活の設定が効いているなぁと思いました。

田中啓文さんのは、ペリー来航を絡めたミステリー。被害者の職業と、被害者が

赤い髪を掴んで死んでいたところがポイントでした。

北山猛邦さんのは、ナチス・ドイツの秘密兵器・列車砲を用いた殺人事件。犯人が

犯行時に隠れていた場所には唖然。これは、列車砲というもの自体を理解して

いないと、なかなか解けないんじゃないのかなぁ。いや、図解はあるし、本文に

ちゃんと説明書きもあるから、単なる言い訳なんですけどね・・・。

伊吹亜門さんも初めましての作家さん。こちらも軍事もので、満州に派遣された

日本帝国陸軍内での消失事件がテーマ。細かい室内の伏線を読み解かないとダメ

ですね。わからんがな^^;

 

まぁ、推理はひとつもまともに出来なかったですけど(本当にミステリファンなの

か)、こういう読者への挑戦ミステリーは大好物!めちゃくちゃ楽しかったです。

歴史ものが多くて、ちょっと問題文に苦戦したところは御愛嬌(アホですみません

^^;)。

ミステリ好きな方、ぜひ、チャレンジしてみてください~。

第二弾もぜひ、お願いします!