ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

東川篤哉/「放課後はミステリーとともに」/実業之日本社刊

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私立鯉ケ窪学園高等部副部長・霧ケ峰涼の周辺にはなぜか事件が多発する。校舎から消えた泥棒、
クラスメ-トと毒入り珈琲一族との関わり、校外学習のUFO騒動―はたして解決できるのか…
(紹介文抜粋)。


一躍人気作家となってしまった為に、早めに予約したにも関わらず随分回って来るのに時間が
かかってしまいました。いつももっと早く読めるのになぁ。これから、もっともっと予約が大変
になりそうで悲しい・・・。今年中に謎解きはディナーのあとでの続編も出るらしいし、
烏賊川市シリーズの短篇集も出る予定だそうですが・・・発売日チェックしておかなければ^^;

さてさて、新作は私立鯉ヶ窪学園シリーズ。といっても、『学ばない探偵たちの学園』
探偵部三馬鹿トリオのシリーズとはまた別もの。どうやら時代設定が違うようです。この間
東川さんのトークショーで、東川さんが二つのシリーズには複雑な関係があるみたいなことを
言っていたのですが、私にはどういう関係なのかイマイチわかりませんでした。『学ばない~』
の探偵部三人がこちらのシリーズにもし出るとしても、最終話になるだろうと言ってましたが
・・・一体どういう意味なんでしょうか^^;三馬鹿トリオのシリーズと共通しているところは、
『探偵部』自体もそうなんですが、高校が舞台になっているのに、授業風景がほとんど出て来ない
ところでしょうか(苦笑)。本書の方にはちらっとは出て来たような気もしますが・・・まぁ、
事件がほとんど放課後に起きているからってのもあるのですけどね。

本書の主人公、霧ヶ峰涼のキャラ造形が良かったですね。名前を聞いて『エアコン』を連想される
度にぶちキレるところが可笑しかったです(笑)。そして、冒頭の一作目から、主人公には
まんまとしてやられました。最初に、本書は順番通りに読むべしとの注意書きがありますが、
確かに順不同で読むと、一作目の面白さが半減しちゃいますね。といっても、実は私、二作目の
霧ヶ峰涼の逆襲』をどっかのアンソロジーで既読だったんですが・・・でも、相変わらず
物忘れが激しいおかげで(^^;)、すっかり霧ヶ峰クンのキャラことなんか忘れていたので、
しっかり一作目で騙されることが出来たのでした(アホ)。

人が死にそうで死なないミステリなので、これも一応日常の謎系ミステリってことになるの
でしょうか。なんか、ちょっと違うような気がしなくもないんですけど(中には一歩間違えると
死んでた話もあるんで^^;)。作風はゆるいですが、しっかり本格ミステリの基本は押さえて
いるので、どの作品も楽しめました。まぁ、派手なトリックというのはほとんどありませんでしたし、
中には先が読めちゃうゆるいのもありましたけど^^;
ミステリとしては、一作目の『~屈辱』と二作目の『~逆襲』が好きだったかな。『~絶叫』
『~エックスの悲劇』なんかのバカバカしいトリックも好きだけど(苦笑)。

ところで、霧ヶ峰涼クン以外の探偵部のメンバーは一体何をやってるんでしょうか。学園内で
あれだけ事件が起きてるのに^^;特に部長。っていうか、部長って誰だよーー^^;涼が
無理矢理顧問にした石崎先生のキャラも好きですね。ちょっと皮肉屋なところが、誰ぞを彷彿と
させるんですが・・・^^;あと、涼に冷静にツッコミを入れる友達の奈緒ちゃんや、顔は
怖いけどどこか抜けてる不良の荒木田君、自分に酔ってるお間抜けキャラの足立君など、脇役
のキャラも個性的で、涼との掛け合いが楽しかったです。


ところで、作中でいろんな人から名前を聞いて『エアコン』と言われてしまう主人公の霧ヶ峰
の名前ですが。
当然のことながら、作者は某エアコンから連想して名付けたそうです(笑)。ご本人曰く、
電車に乗っていて目についた霧ヶ峰エアコンの車内広告を見て閃いたそうな(笑)。あのエアコン
さえなければ、普通にカッコイイ名前だと思いますけどね(苦笑)。