ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

碧野圭「レイアウトは期日までに」(U-NEXT)

碧野さん新作。仕事をリストラされてしまい途方にくれたデザイナーと天才装丁家

がタッグを組むお仕事小説。

一つ前に読んでいた貴志さんの作品は一週間以上かけて読んでいたのに、本書は

内容軽めでページ数も少なめなので、2日くらいで読んでしまった。さくさく

読めるっていいな~と思いました(アホな感想w)。

内容も面白かったです。ブックデザイナーのお仕事はすごく興味があるので、

ワクワクしながら読みました。主人公のめぐみは、装丁の仕事には憧れを持って

いるけれども、もともとは出版社で非正規のデザイナーをやっていた為、どちらか

というと、雑誌などの文字や写真のレイアウトとかデザインの方が本業。お互いの

仕事を尊重しつつ、二人で協力し合いながら仕事をしていくところが良かった

ですね。最初は、天才肌で人付き合いが苦手な青のキャラクターにとっつきにくさ

ばかりを感じていましたが、物語が進むうちに、少しづつ彼女の本性もわかって

来て、印象が変わって行きました。

めぐみの境遇を考えると、現実ではこんなに物事が上手く行く筈ないのでは、と

ツッコミたくはなりましたけど・・・。失職と同時に、住む場所も犬と一緒に

追い出されることになって、途方に暮れていたところで、豪邸に住む青のところで

犬ごと住み込みで働けることになるなんてね。そんなラッキーある!?って

思いましたもん。しかも、働く条件はアルバイト扱いとはいえ、月収は前の職場

でもらっていたのよりも多いという好条件。まぁ、不摂生な青の為に、食事を

作るっていうイレギュラーなこともめぐみは請け負ってましたけど(ただ、これは

強制ではなく、めぐみの方からそもそも言い出したもの)。青は、性格はかなり

アバウトでいい加減だけど、雇い人としてはかなり良い方なんじゃないかなぁ。

めぐみの能力もちゃんと評価して、やりたい仕事をやらせてあげるし。まぁ、

天才肌な分、相容れない部分なんかも出て来ましたけどね。青の気分屋なところは、

人として付き合うにはかなり面倒な部分も多いしね。でも、お互いに苦手な

ところを補い合って行けそうなので、これからも良いバディになれそう。終盤、

めぐみが元の会社の先輩から引き抜きの話をされた時には、どうなることかと

思いましたが、めぐみの決断にほっとしました。孤独でさみしがりな青を、

これからも支えて行ってあげてほしいな。

装丁の仕事も興味津々だったけど、めぐみの雑誌や書籍のレイアウトの仕事も

面白そうだったな。

私の大学時代の友人が、以前、花を扱う雑誌(花時間)の編集部で編集やってたことが

あって、友人に頼まれて少しだけその雑誌の記事に関わったことがあるんですが、

その雑誌の奥付に友人の名前が書いてあるのを見る度に、すごいなーかっこいいなー

と憧れを抱いたことを思い出しました。その後フリーランスになって、個人で仕事を

受けていたみたいですが・・・最近は年賀状くらいしかやり取りしていないから、

今はどうしているのか全然わからないのですけどね。才能溢れる女性だったから、

きっと今も精力的にいろんな仕事してるんだろうなぁ。元気かな。

青とめぐみ、二人の関係が好きだったので、またその後のお話も読めたらいいなぁ。