ミステリ読書録

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本楽大学ミステリ学部課題 < 極私的恩田陸著作ベストランキング >

本楽大学ミステリ学部課題 < 極私的恩田陸著作ベストランキング >

私が所属している本楽大学ミステリ学部。第2回の課題が出されました。お題は投票に
より決定した7人の作家の中で一人を選んで記事を書くというもの。さて、誰について
書こう?と悩んだのですが、せっかくみんなから選ばれた一位が恩田さんなのだから、
やはり日ごろ恩田フリークを自称している身としては、このテーマで書く以外にないだろう、
と思いました。しかし、私は恩田陸という作家に対して、そんなにたくさん語る言葉を持って
いません。
恩田陸の魅力、と言われて思い浮かぶのはとにかく情景描写が巧みだということ。類い稀な
文章力を持っていて、その表現力はいつも私の心の琴線に触れるものだということ。
かなり極論を言ってしまうと、私は恩田作品を読む時、その物語自体は正直そんなに
重視してません。もちろん面白い作品、そうでない作品、結末に納得できる作品、できない作品、
恩田作品はとにかくバラエティに富んでいて、その中には一般受けする作品としない作品の差が
激しい。私も、初めて恩田作品を読む人とそうでない人がいたら、薦める作品が全く違います。
ただ、私自身は、先に述べたように、恩田陸の文章を読むことが主目的で恩田作品を読んでいる
所がある。その物語がたとえ不鮮明な結末でも、迷宮の中をぐるぐる回って酔いそうでも、
いつの間にかその世界に入り込んで魅了されてしまっている。まさに文章自体に酔える作家。
そんな不思議な感情を持っている作家は恩田さんただ一人です。
私にとっては唯一無二の作家です。

さて前置きが長くなりましたが、せっかく恩田作品は全て読了しているので、ここで全て
の著作のランキング付けをしてしまおう!という無謀な試みに挑戦。恩田全作品に関しては
「月読通信」のアニスさんが素敵な記事を書かれていらっしゃいますので、私はただ、ほんっとに
極私的な好きな順ランキングです。ここ最近、私の好みは人と大きくはずれている傾向にあると
いうことをひしひしと感じる為、このランキングに納得いかない人が大多数であると推察しますが、
まぁ、その辺りは大目に見てやって下さい。正直、恩田作品は一定時期にかなり集中的に読んだ
ので、印象に残ってない作品の内容はかなり忘れてます。という訳で、下位作品のランキングは
弱冠(いや相当)適当なとこもあります。それで書こうっていうのだから見上げた根性だ(自分で
言うな^^;)。



1 象と耳鳴り
2 三月は深き紅の淵を
3 黒と茶の幻想
4 光の帝国 常野物語
5 ドミノ
6 麦の海に沈む果実
7 黄昏の百合の骨
8 ネバーランド
9 夜のピクニック
10 木曜組曲
11 蛇行する川のほとり
12 六番目の小夜子
13 酩酊混乱紀行『恐怖の報酬』日記
14 チョコレートコスモス
15 いのちのパレード
16 上と外
17 小説以外
18 中庭の出来事
19 ユージニア
20 不安な童話
21 木洩れ日に泳ぐ魚
22 蒲公英草子 常野物語
23 ロミオとロミオは永遠に
24 ライオンハート
25 ネクロポリス
26 朝日のようにさわやかに
27 MAZE
28 puzzle
29 図書室の海
30 月の裏側
31 クレオパトラの夢
32 球形の季節
33 ねじの回転
34 Q&A
35 夏の名残りの薔薇
36 劫尽童女
37 まひるの月を追いかけて
38 エンド・ゲーム 常野物語
39 禁じられた楽園


ぬ、抜けてないかな?(ドキドキ)
はい、1位に首をかしげる人は多いでしょう。でもこれは譲れません。私はこの作品
の根底にある恩田さんの‘本格への意識’にやられました。タイトルも装丁も好き。
そして何より関根親子のキャラクターが良い。恩田さんのシリーズキャラクターの中
ではダントツに好きですね(次点はもちろん理瀬シリーズですが)。
2位は初めて読んだ恩田作品なので、とても思い入れは強いです。これを1位にあげる
人は結構いるのではと思ってます。一応理瀬シリーズだし。この複雑な作品構成とそれぞれ
の短編が持つ不思議な魅力にすっかり魅了され、次次恩田作品に手を出したのでした。
タイトルがまた実にいいですね。このシリーズのタイトルはどれもとても好き。
正直20位以降はどれがどれやら状態なので、なんとなくの印象で順位を決めました^^;
ワースト10も全部嫌いな作品ではないです。それなりに面白く読んだことは確か。
でも恩田さんの中では評価が低い作品という位置づけです。

一般的にはおそらく「チョコレートコスモス」とか「夜のピクニック」が上位に入るのだろうな
ーと思うし、私も好きな作品ではあるのですが、正直、この手の作品が評価されてしまうと
恩田さん本来の魅力とはちょっと違う気がして素直に喜べなかったり。恩田さんには
やはり奇妙でいびつで、不思議な魅力の溢れる変化球的な作品を書いて欲しい。
私にとっては、現実にはない、どこか違う世界に連れて行ってくれる、数少ない作家
の一人なのですから。


うう、ちゃんとした作家論とか書けなくてすいません。
恩田さんの文章、好きすぎて何書いていいかわかんないです。
ますますミステリ学部の落ちこぼれと化しそうだなぁ・・・。
すみません・・・。