恩田さん久々のエッセイ集。今回は、ほとんどが本に関して書かれたものを
まとめたもの。このタイトル、なんとなく覚えがあるなぁと思ってたら、
『土曜日は灰色の馬』のタイトル構成を踏襲したものだそうで(あとがきで判明)。
曜日+動物で、今後出るエッセイもその形になるらしい(もう次の月曜日は
今年中に出版されるのが決まっているそう。わーい)。
相変わらず、恩田さんの読書はジャンルが多岐にわたっていてすごいです。
たくさんの本が出て来るのだけど、私が読んだことがある本は本当に僅かしか
ありませんでした。海外の作家が多いってのもあるけど、日本の作者のものでも、
知らないものばかり。若干置いていかれ感がありましたけど・・・。やっぱり、
こういう本に纏わるエッセイは、知っている本が出てくれば出て来るほど楽しい
ものですし。自分が好きな本を作家さんが褒めているのは望外の喜びがあったり
もします。知らない本が紹介されているってことは、それだけ読みたい本が増える
ってことでもあるんですけどね。ただ、私が苦手なジャンルのものもたくさん
あったので、そこはあんまり参考にならなかったかも^^;SF系が多かった印象
があるので。
吉田秋生さんと若竹七海さんの回が嬉しかったかな。若竹さんと一つ違いとは、
ちょっと驚き。なんか、印象では、若竹さんのほうがずっと先にデビューしている
感じがしていたので(実際は、一年後に恩田さんがデビューされたそう)。
『ぼくのミステリな日常』にあれほどの嫉妬心を抱いていたとは。でも、なんか
わかりますけどね。あの作品は、ミステリ好きにはたまらない作品ですもん。
恩田さんが、そんなに本格ミステリを書きたいと思っていらしたとは、ちょっと
驚きだったかも。今からでも遅くないから、また本格作品に戻って来てほしい・・・。
恩田さんのミステリが大好きなんですもん。ちなみに、この回の本題である、
『製造迷夢』の内容はさっぱり覚えておりませんでした^^;
それにしても、恩田さんにとって文庫の解説がそこまでハードルの高いものだとは
驚きました。確かに言われてみれば、小説の最終形態は文庫ですもんねぇ。
恩田さんが文庫解説を書くということは、それだけその作家と作品を愛している
という証拠なのですね。解説を書くに当たっての下準備と心構えがすごい。
これから、恩田さんの文庫解説がある本を見かけたら要チェックかもしれない。
あと、演劇についてもちょこちょこ触れられているのだけど、びっくりしたのは、
蜷川幸雄さんに書き下ろした戯曲を提出していたことがあったというところ。
結局その戯曲を蜷川先生が演出することはなかったそうだけど。どんなもの
だったのか、見てみたかったなぁ。蜷川幸雄と恩田陸がタッグを組んだ戯曲。
凄そうだ。
それにしても、恩田さんの読書量はすごい。一体あんなにいつ読む時間がある
んだろう、といつも首を傾げてしまう。お仕事だって相当たくさんされている筈
なのに!
読書家というのは、こういう人のことを言うのだなぁとしみじみ思わせられる
エッセイ集でした。