ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

東野圭吾/「容疑者Xの献身」/文藝春秋刊

言わずと知れた、ベストセラー作家東野圭吾さんの「容疑者Xの献身」。

直木賞受賞作として知ってご存知の方も多いと思いますが、私にとっては、待ちに待った
湯川シリーズ続編という位置づけの作品。天才数学者である犯人の完全犯罪に天才物理学者
湯川が挑む。

完全犯罪の裏に隠された真の動機と考え抜かれたトリックに驚いた方も多い筈。それにしても、
ここ数年の東野作品には「famme fatale=宿命の女」を登場させるものが多い。「白夜行」や
幻夜」もそうだし、「ゲームの名は誘拐」「秘密」なんかもそうでしょう。この「容疑者~」
もその例に漏れず、ヒロインの女性は一見おしとやかで優しい人のように見えるけれど、根底は
したたかで計算高い部分があると思う。特にラストの行動は東野さんの「宿命の女」ならでは。
東野さんって、女性に何か思う所があるのでしょうかねー。痛い目に遭ったとか?

この作品を読んで気に入られた方は是非前作「探偵ガリレオ」「予知夢」も読んでみて頂きたい
です。私のような物理化学オンチ人間でも十分楽しめる物理ミステリの連作短編集。「容疑者~」
の時より飄々として、淡々とトリックを解いてしまう湯川助教授がかっこいいのです♪

※記事多少修正致しました(2006.10.3)。