ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

三木笙子「怪盗の伴奏者」/東野圭吾「禁断の魔術」

どもども。今日はじめじめ梅雨空一転、久々に晴れて暑い一日でしたねぇ。
差が激しすぎ^^;これから毎日30度超えなんでしょうか・・・うげー。


今回も読了本は二冊。
一冊づつ感想を。


三木笙子「怪盗の伴奏者」(東京創元社
帝都探偵絵図シリーズ(というらしい)第四弾。三作目までは割合コンスタントに
出てましたが、今回は前作からは大分時間が空きましたね。
そのせいで、出て来る脇役キャラをすっかり(毎度の如くに)忘れておりまして^^;
今回メインで登場する安西検事や怪盗ロータスが前の話でどんな活躍をしたのか
さっぱり覚えてませんでした^^;おさらいしてから読めば良かったかなぁ。
そんな訳で、今回は元来主役を張っている高広や礼の出番が少なめで若干
物足りなさを感じたのも事実。ワタクシ、毎度主役二人のBL風いちゃいちゃ(違?)を
一番楽しみにしているヨコシマ読者なもので(笑)。
ただ、今回は、主役二人の代わりに、先に名前を出した安西検事と怪盗ロータス
BL風空気を存分に出してくれているので(笑)、そっちのカップル(だから違)の
あれこれ(って何やねん)で違う楽しみ方が出来たかな、と。だってねぇ、ロータス
の真の目的は絵画を盗むことでも警察の裏を書いてほくそ笑む為でもなく、ただただ
ある人物を手にいれる為だったっていうのだからね(呆)。どれだけ、長い間その人物
のことを想って来たのかがうかがい知れるってもんです。ロータスがあれだけ世間を
騒がせる事件を次々起こして来たのも、たった一人の人物に対するメッセージの表れ
だったのかなぁ。安西検事はこれからどうやって生きて行くのだろうか。多分、もう
後戻りは出来ない訳で。すべての未来を捨ててでも、抗えない魅力がロータスには
あるということなのでしょうね・・・。
高広と礼の出番は少ないと述べたけれど、高広の礼に対する本音が知れたのは
嬉しかったかな。高広がそこまで礼に引け目を感じていたとは。どんだけ
好きなんだか(笑)。もー、高広の告白を読んでたら、こっちが赤面しそうだったわ!
次回からは、相棒を手にいれて更にパワーアップしたロータスに高広たちが
振り回されることになったりするのかなー。個人的には、礼とロータスをもうちょっと
絡ませて欲しいなぁ。似て非なる二人って感じがするんで(笑)。
そして、次こそは高広と礼ががっつり活躍する正編でお願いしたいです・・・。


東野圭吾「禁断の魔術」(文春文庫)
単行本版『禁断の魔術』の中の一篇『猛射つ』を文庫化に辺り、加筆・改稿
して長編にしたもの。ほとんど書きおろしみたいなものみたいです。
ま、正直短編の時のストーリーは当然ながら(えばるな)ほとんど忘れていたので、
普通に初読のように楽しめました(こういう時は便利な私の記憶力)。
とはいえ、ラストの湯川先生の暴挙(?)のくだりはさすがに覚えていました
けれど。
短編の時よりもいろんなエピソードが増やされていて、大分膨らまされて
いましたね。被害者が亡くなっていたホテルが、一瞬『マスカレードホテル』
あのホテルだったら面白いのになーとか思ったんだけど(一流ホテルみたいなんで)、
さすがにそんなことはなかったです(当たり前か^^;)。
湯川先生は、一作ごとにだんだん人情派になっていくような気がしますねぇ。
最初は、もっとクールなイメージだったような。子供にほだされたと思ったら、
今回は弟子。そもそも、いくら母校とはいえ、高校の弱小物理研究会の為に、
あそこまで骨を折るとは。忙しい割に、毎日のようにやって来たとか書いて
あったし。意外とお人好しなんですよねー。それが、あのラストに繋がるので
しょうけど。もちろん、自分が目をかけた弟子を最後まで信じたからこそ、
なのですけど。自分の信じたものに裏切られるのならば、犯罪者になっても
いい、と思ったのか。それにしても、物理や科学って、ほんとに善にも悪にも
なるものなんですね・・・。伸吾の父親の昔のエピソードには、いろいろと
考えさせられてしまいました。原発だって核兵器だって、すべて人間が開発
したものなんですものね・・・。それ以上に、素晴らしい発明もたくさんして
来たのだけれど。
今回、容疑者の青年を巡って、草薙刑事と湯川先生の間に溝が出来てしまったのが
悲しかったです。
親友でも、絶対的に相容れない部分もあるものなんですね。もちろん、立場が
違うせいもあるけれど。
草薙刑事が湯川先生にオーパスワンを渡せる日は来るかな。最近は湯川先生の
相棒は内海さんが務めることが多いけれど、やっぱり根っこのところで深い
繋がりがあるのは草薙刑事であって欲しいんですよね・第一話からの
付き合いですしね(笑)。
物理ミステリとしては、あんまり特筆すべきトリックではなかったですね^^;
このシリーズって、長編になると人間ドラマの部分が中心になって、物理トリック
の部分があまり目立たなくなる傾向があって、今回も例に漏れず、という感じ
でした。そろそれネタ切れになって来たんでしょうかね。
それでも、やっぱり湯川先生はカッコ良かったです。ラスト、最後まで弟子を信じる
准教授の強い心に胸を打たれました。
ワインも待っていることだし、なるべく早く日本に帰って来て頂きたいものです。