ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

山田悠介/「リアル鬼ごっこ」/幻冬舎文庫刊


西暦3000年、横暴な国王によって支配された国で、『佐藤』という姓を持つ人口は500万人を
超えていた。国王は、自らの姓である『佐藤』を名乗るのは自分だけでいいと考え始めた。そこで、
『佐藤』姓を減らす方法を考えた挙句、全国の『佐藤』さんを対象にしたリアル鬼ごっこが考案
された。夜の11時からの一時間、全国の『佐藤』さんは国王が用意した鬼と鬼ごっこをしなければ
殺されるというものだ。一週間逃げ続けた者には国王から何でも願い事をかなえてもらえるというの
だが・・・。陸上部のエースである大学生の佐藤翼は、幼い頃に生き別れた妹を死の鬼ごっこから
救う為、妹の消息を探して大阪へ旅立つのだが――。映画化もされた大ベストセラー改訂版。


皆様のご期待に沿うべく、早速読んでみましたが・・・むむむ。困ったなぁ。こんな筈では・・・。
どう困ったのか普通に記事にするのもアレなので(意味不明)、以下黒べるこ×白べるこの脳内
コント(?)でお送り致します。
かなり長いので時間のない方は一番下に飛んでくださいまし。


< キャスト紹介 >
黒べるこ(以下黒べ):読後壁に投げつけたくなるような本を容赦なく酷評するのが大好き。
なぜか一部で人気があるらしい。

白べるこ(以下白べ):ごくごくフツーの読書好き。図書館大好き。気に入らない本の批評に
びびる小心者。


白べ:『ねぇねぇ、黒べるちゃん、黒べるちゃんが大好きそうな本を古本屋で買ってきたわよ!
新しく出来たブック○フで105円だったのを50円割引を使って55円で手に入れてきたの』

黒べ:『ふうん。相変わらずせこいわね。で、どんな本よ?』

白べ:『これはね、ゆきあやさんたいりょうさん最低の壁本と切り捨て、あややっくすさん
読んだ後自己嫌悪にかられ、よもさんには読まずに売りに出した方がいいとまで言われた
出版界に燦然と輝くスーパー壁本なのよ!』

黒べ:『素敵!それはまさに私にうってつけの本じゃないの。この間の西澤さんの『マリオネット・
エンジン』ではちょっと毒を吐き足りないとおもっていたところなのよ。毒舌の血が騒ぐわ・・・!
早く貸してちょうだい!』

白べ(心の呟き):『ふふ。それでこそ黒べる子。あなたの出現を心待ちにしている人が(なぜか)
いるみたいだから、これを読んで思いっきり暴れてもらうわよ!』

黒べ:『で、なんてタイトルの本なの?』

白べ:『これよ、リアル鬼ごっこ!さぁ、読んで読んで!』


~黒べるこ、『リアル鬼ごっこ』を読み始める~

黒べ:『うわははは。何よ、コレ。西暦3000年の日本が王国になってて、21歳のわがまま
馬鹿国王が『佐藤』姓を名乗ってるんですって。なんで他の設定がそのままの日本なのに
王国制なのかしら。しかも側近が『じい』って。なんなのよねぇ、それ。のっけからツッコミ所が
満載じゃない。これは思いっきり毒が吐けそうね!(喜)』

白べ:『・・・』


~黒べるこ、更に読み進める。

黒べ:『すごいわね、これ。『佐藤』姓を減らすのに命をかけた鬼ごっこって。馬鹿じゃないの。
そんなことする位なら全国の『佐藤』さんに改名してもらえばいいだけじゃないの。『佐藤』
探知機なんか開発するよりずっと低コストで済むじゃないの』

白べ:『さすがね、黒べるちゃん。こんな初期設定の段階からそこまで毒が吐けるなんて!ところで、
みんなが口を揃えて『酷い』と言ってた文章の方はどうなの?そこが一番のツッコミ所でしょ』

黒べ:『え、ええ・・・確かに稚拙よ。今まで読んで来た作家に比べると最低レベルね。でも・・・読めない
ほどではないわ。今のところは・・・とにかく、続きを読んでみるわ』


~黒べるこ、以下、無言で最後まで読了。


白べ:『読み終わったみたいね。さぁさぁ、思う存分毒を吐いてすっきりしちゃいなさいよ!』

黒べ:『・・・』

白べ:『どうしたの?黒べるちゃん。いつものブラックオーラが見えないわよ!もちろん最低最悪
の本だったんでしょう!?』

黒べ:『・・・それが・・・案外普通に読めちゃったのよ・・・。酷いわ、アタシは思いっきり
毒舌が吐きたいのに!文章もそこまで酷いと思わなかったのよ!矛盾した文章にツッコミを
入れようと待ち構えて読んでたのに!』

白べ:『ど、どういうこと?ダメよ、黒べるちゃん。みんなあなたの酷評を待ってるのに!
文章がまともになるわけ・・・ん?ちょっと待って、この本(最終ページを確認)・・・
大幅加筆・修正って書いてあるわ・・・!あまりにも酷い文章だから文庫化に当たって校正が
入ったのね・・・!しまったわ。黒べるちゃんに読ませるには初版バージョンにするべき
だったのに・・・!55円に負けて買ってしまった私が間違ってたわ・・・!』

黒べ:『でも、確かにストーリー展開も大幅修正が入ったとはいえ文章表現も稚拙で
みんなが酷評するのもわかったわ。こんな本がベストセラーになる日本の出版界の将来が
心配ね・・・』

白べ:『そんな穏やかなコメント望んでないのよ~~~もっと毒を!!みんなの期待は
どうなるのよ~~!!』

黒べ:『そんなこと知らないわよっ。アタシだって毒が吐ききれなくて消化不良なのよ!
こうなったらアレを読むしかないのかしら・・・ついにアレに手をつけるしか・・・』(うつろな目で
ふらふらと出て行く)



    ~完~




という訳で、すみません。結構普通に読めちゃいました・・・脳内コントの通り、冒頭の基本
設定では内心ツッコミを入れまくっていたのですが、みんなが指摘していた文章の矛盾なんかは
あんまり気にならなかったんですよね・・・どうも、文庫化に当たってかなりの修正が入った
ようです。例えば、たいりょうさんの記事で挙げられていた「二人が向かった先は地元で有名な
スーパーに足を踏み入れた」という部分ですが、私が読んだ文庫版では「二人が向かった先
は地元でも有名なスーパーだった」と変えられています。うーん、その元バージョンが
読みたかったのになぁ。ちっ、残念(!?)。もちろん、ストーリー展開も安易で予想しやすく、
ツッコミ所が満載だったのですが、壁に投げつけたい程ではなかったかな。それだったらまほろ
方がよっぽど壁本でしたし。まだ、書きたいことの意味はわかりましたもん。ストーリー単純だから。
この本にこういう評価を下すってこと自体がすごく勇気がいるんですけど・・・それこそ多くの人
から絶縁されそうです・・・(すでに一人から言い渡されているのに(涙))。でもでも、
普通に怒りもなく読めちゃったんだもん・・・。まぁ、ベストセラーになる程の作品とは口が
割けても言いませんけどね。もちろん、他の作品を読んでみようという気もありません^^;


みなさまの期待に応えるべく読んでみた作品だったのですが、残念ながらブラべる発動作品とは
ならず仕舞いでした・・・機会があれば初版バージョンにチャレンジ・・・しないな、多分^^;
最後に黒べるが言ってるアレについては、各自で好きな作品を思い浮かべてください(笑)。

大変おそまつな記事で失礼致しました^^;作中にお名前を出してしまった方、無断で
すみません^^;