ミステリ読書録

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はやみねかおる/「都会のトム&ソーヤ (2) 乱!RUN!ラン!」/講談社刊

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はやみねかおるさんの「都会のトム&ソーヤ (2)乱!RUN!ラン!」。

竜王デパート南T店のめったに流れない甘栗のCMを観るといいことが起きる』という街の噂を
内人から聞いた創也は、噂の裏に何かあると感じ、調べ始める。CMが流される日には何かの
法則性があるのではないかと疑いデータを探るが、見つからない。そこで、CMが流れた直後、
二人は実際にデパートに行ってみることに。一通りデパートの中を歩いた後、喫茶店で休憩
している途中、創也に一服盛られた内人が次に目を覚ますと夜になっていた。創也は、甘栗の
CMが流れた夜、デパートで秘密の何かが行われているのではないかと考えたのだ。そして、
その何かには、創也が追い続けているゲームクリエイター、栗井栄太が関わっている――
二人の夜のデパートでの『冒険』が始まった――。シリーズ第二弾。


まちトム(略し方合ってるよね?^^;)第二弾です。前作がとても面白かったので、早速
続きを読んでみました。いいね、いいね。やっぱりこのシリーズは読んでいてとっても楽しい。
こてこての本格を読んだ後だったので、肩の力を抜いて気楽に読めました。二時間ちょっとで
読めるお手軽さもいい。何より、主役二人のキャラ造詣と関係が良くて、読んでいて気持ちがいい。
最初は頭が良くて皮肉屋でクールな印象だった創也だけど、内人と知り合って行動を共にして
行くうちに、意外に抜けていて、とぼけた所もあることがわかって来たのが嬉しい。それに
思った以上に内人を信頼して頼りにしているところも。大抵、こういうキャラって自分で何でも
できちゃうから、相手に何かを期待するってことがないものなんだけど、創也は二人の役割を
きちんと分かっていて、自分が苦手な分野は内人に任せてしまうという、割合に鷹揚な所がある。
ずる賢いからとかじゃなくて、内人の能力を認めて、彼ならなんとかしてくれると信じているから。
もちろん、内人は創也の頭脳明晰で冷静なところを素直に尊敬しているし。二人が都会の街で
一つ冒険する毎に、二人の友情関係が深まって行くのを感じて微笑ましい気持ちになります。
今回は二つの冒険と、間にちょっぴり息抜きで学校の音楽室でのお話が入っています。どれも
面白かった。
冒頭の『鬼ごっこ Day and Night』での冒険は、夜のデパートに忍びこむというシチュエーション
にまずドキドキさせられます。そこで二人は『鬼』と出会い、緊迫感溢れる追いかけっこが
始まります。まぁ、正直『鬼』の正体は出て来た瞬間即行でわかってしまったのですが(^^;)、
今回もピンチになると内人くんの必殺技『おばあちゃんの知恵袋』が炸裂。ほんとに、この
おばあちゃん、何者!?って思っちゃうなぁ。なんでこんな知識を知っているのか・・・。
内人がその受け継いだ知識を一つ一つ大切にして、実戦に役立ててるのが嬉しいね。でもかさ袋で
作るロープは強度的に無理があるんじゃないかと思ったけどね・・・(しかも二人分の体重を
支えるのはどう考えても無理だろう^^;)。

インターバル的に挿入されている『わたしを音楽につれてって』では『音楽室野球』という耳慣れ
ない野球競技(?)が登場。これがなかなかに傑作なスポーツ(?)なので一読の価値アリです(笑)。
細いローカルルールがまた可笑しかった。どの学校にもそれぞれのローカルルールがあるって
書いてあるけど、私の学校では残念ながらやっているのを見かけなかったです・・・。いかにも
中学生の男子が考えそうなお遊びだなぁと呆れつつ、ニヤニヤしちゃいました。創也がラストで
動揺しているのが可愛い。内人のおかげで、対人関係もすごく良くなってるよね、創也。

ラストの『ゲームの館』ではついに栗井栄太の正体が判明します。なるほど、こういう人物像
でしたか。一巻にヒントが出て来るって書いてあったけど、確かにそう匂わす記述は出て来ていた
のですね。気付かなかったぁ。栗井栄太と対面したことで、創也の今後の目標もはっきりしました。
栗井栄太は今後も出て来るのかな?ゲーム制作対決とかすることになるのだろうか。でも、創也の
頭脳と内人の雑学があれば、きっとどんなことにも打ち勝って行けるよね。二人の冒険の続きが
まだまだ読めると思うと嬉しいです。どんどん読み進めて行こうっと。


大人から子供まで楽しめるジュブナイル。はやみねさんらしい良作で気持ち良く読み終えました。
残念だったのは卓也さんの出番が少なかったことかなー。相変わらず就職情報誌が愛読書で
笑えました(笑)。