ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

野村美月/「”文学少女”と繋がれた愚者」「”文学少女”と穢名の天使」/ファミ通文庫刊

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野村美月さんの「”文学少女”と繋がれた愚者」「”文学少女”と穢名の天使」。

「これは食べ物への冒涜よっ!」物語を食べちゃうくらい深く愛している”文学少女天野遠子
彼女が、図書館の本のページが切り取られていることを発見してしまったため、文芸部の後輩井上
心葉は、またしても振り回されるハメになったのだが……。 学園中が文化祭の準備に沸く陰で、
追いつめられ、募っていく狂気。過去に縛られ立ちすくむ”愚者”に、”文学少女”が語る物語
とは――?(「”文学少女”と繋がれた愚者」)

文芸部部長、天野遠子。物語を「食べちゃうくらい」愛しているこの“文学少女”が、何と突然の
休部宣言!? その理由に呆れ返りつつも一抹の寂しさを覚える心葉。一方では、音楽教師の毬谷の
手伝いで、ななせと一緒に放課後を過ごすことになったりと、平和な日々が過ぎていくが……。
クリスマス間近の街からひとりの少女が姿を消した。必死で行方を追うななせと心葉の前に、
やがて、心葉自身の鏡写しのような、ひとりの”天使”が姿を現す――(「“文学少女”と穢名の
天使」)。(あらすじ抜粋)。



シリーズ第三弾&第四弾。図書館本を一時お休みして、一気に読みました。うーん、面白い。そして、
相変わらずどちらのお話も重い。単なる萌え系ラノベ小説かと思って読むと思わぬ暗さに面食らう
こと間違いなし。愚者も天使も、どちらにしても、初登場のキャラたちはとても重いものを抱えて
ワケありです。どちらも合間合間に挟まれる独白が意味深で、いろいろ深読みしてしまいました。
どちらかというと『天使』の方が先が読みやすかったかな。一作ごとにキャラ同士の繋がりが
深くなり、それぞれのキャラの抱えている過去も少しづつ明かされて行くので、ちゃんと順番
通りに読まないとダメっぽいですね^^;早く続きも入手しなくては・・・。一応古本屋で
比較的安価で見かけたら順番関係なく購入しようとは思っているのですが、人気あるからなかなか
見かけないし、見かけても大して値引きされてなかったりして、なかなか続きが集まらない^^;
まぁ、気長に追いかけようと思います。でも、時間かかっても絶対最後まで読みますよ~。遠子
先輩と心葉君とななせちゃんの三角関係(に発展するのかどうかもわかりませんが^^;)が
どうなっていくのか見届けたいですからね^^


以下、それぞれの感想。

『”文学少女”と繋がれた愚者』
今回の文学作品は武者小路実篤『友情』。これは高校生の時読んだのですが、さっぱり内容を
覚えておりませんで^^;毎度ながら、もう一度読み返したくなりました。結構面白く読んだ
覚えはあって、作者の武者小路実篤にも興味を惹かれて、実篤の実家を改装して作った実篤
記念館にも行ったくらいだったんですけどねぇ^^;
今回初登場の芥川君、なかなか良いキャラですね。彼の独白にはちょっとイラっとしたところも
あったのですが(なんか、キャラに似合わずうじうじしてるし、母親に悩んでることを逐一手紙で
報告するっていうのもどうかと思っちゃったんだもん・・・最後で理由がわかって溜飲が下がり
ましたけどね)。それにしても、最後の最後であの人物と繋がっているとわかった時はビックリ。
っていうか、生きていたのかーー!!とそっちの方がもっとビックリしたけど^^;でも、その
人物に告げた心葉君への決意に嬉しくなりました。彼らは良い友だちになれそうですね。
そして、今回もやっぱり遠子先輩の言葉が胸にずしりと響きました。普段はあんなにぽやんと
した人なのに、いざとなると、なんでこんなに素敵な言葉で人の心を動かせるんでしょう。ほんとに、
あなどれない人ですね。

『”文学少女”と穢名の天使』
こちらの文学作品はガストン・ルルーオペラ座の怪人。これは映画は観たのですが、原作は未読。
遠子先輩が言うには、映画やオペラになる度に結末が違ったり、いろんな脚色がしてあるそうなので、
きちんと原作を読んでみたくなりました(毎度ながら、煽るのが上手な作家さんだ・・・)。
前作のラストの引きからして、今回は心葉君と『彼女』の話になるかと思いきや、ななせちゃん
メインのお話でした。彼女と心葉君の出会いもやっと明らかにされます。なるほどなるほど、
そんなシチュエーションだったら、中学生の乙女ならそりゃ恋に落ちてしまうね。心葉君も罪な
男ですのぅ(誰?)。事件のからくりはなんとなく見当がついてしまったのですが、やっぱり
ラストの遠子先輩のファントムに対する激白は読まされてしまいました。遠子先輩の人としての
優しさや、文学への愛情にはほんとに毎回心を掴まされていまいますね。今回は彼女が受験生だと
ようやく自覚して、勉強を優先して休部してしまう為、いつもより出番が少なかったのが残念
だったのですが、最後にはきっちり美味しいところを持って行く辺りはさすがの存在感。やっぱり
このシリーズは文学少女なくしては成り立たないのですよね。
心葉君は今回で大分ななせちゃんとの距離が縮まった感じがしますね。ななせちゃんの天邪鬼
っぷりはほんとに傍から見ていて可愛いです。心葉君も思わずツッコミ入れたくなっちゃうくらい
鈍感過ぎて呆れちゃいますが、憎めませんね。でもでも、私はやっぱり心葉君は遠子先輩と
くっついて欲しいなぁ・・・。遠子先輩はあんなだし、二人の間に恋愛感情が芽生えることはない
のかなぁ・・・ううむ。




次はいよいよ真打ち登場となりそうですね。続きが気になるーーー!!!(><)
遠子先輩の卒業と進学も気になります。あんな状態で受験大丈夫なんでしょうか・・・。
早く入手しなければ~。