ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

小路幸也「オール・ユー・ニード・イズ・ラブ 東京バンドワゴン」/若竹七海「御子柴くんの甘味と捜査」

どうもみなさま、こんばんは。
W杯も終わってしまいましたね。いやー、決勝戦はすごい試合でした。
まぁ、ドイツ勝つだろうなーと思っていたので、順当な結果じゃないでしょうかね。

ところで、さきほどヤフーニュースで芥川・直木賞の結果を知りました。
芥川賞獲った柴崎さんの作品、むかーしに読んだ覚えがあるんですけど、
違う人かしらん。ミステリだった覚えがあるんだけど・・・。
直木賞の方は、案の定六度目の正直、ってやつでしたね。受賞された黒川さんの
作品も、一冊だけ読んだことあるんですよねー。すんごい、後味の悪いピカレスク
小説だった覚えが。
今回は結構読んだ作品がノミネートされていたから楽しみにしてたんだけど、
ちょっと残念な結果でありました。受賞された柴崎さん、黒川さん、おめでとうございます。
ところで、全然関係ないんですけど(ちと苦しいけど、直木賞繋がりってことで^^;)、桜庭
(一樹)さんが離婚されていたことにビックリしました。旦那さん(いや、元旦那さんか)、
いつの間にか芸人辞めてたんですね(新聞の週刊誌の広告の見出しに出てて『元芸人夫と離婚』って
書いてあったもので・・・)。やっぱり格差婚のせいでしょうかね・・・(余計なお世話だけどさ^^;)。



とと、余談はこれくらいにして。
読了本は今回も二冊。

では、一冊づつ感想を。


小路幸也「オール・ユー・ニード・イズ・ラブ 東京バンドワゴン」(集英社
シリーズ第9弾だそうです。なんか、もっと出てるような気もするし、もうこんなに
出たのかって気もするし。
このシリーズ、だいたい、毎回感想が同じになっちゃうのよね^^;
今回もラブいっぱいであったかーい気持ちになりました、っていう(苦笑)。
まぁ、そのいい意味でのマンネリがこのシリーズ最大の持ち味なので。いい人しか
出て来ないし、絶対堀田家の関係者は悪いことしないし、これ以上ないってくらいの
お人好し揃い。ストーリーも絶対最後は大団円、とね。それでいいんですよね。
テレビドラマ化されたので、若干そのキャストが頭に残ってはいるのですが、
どうしても我南人さんは私の中では内田裕也忌野清志郎だし、青が亀梨くんは
あり得ないしで、やっぱりドラマと小説は別物ですね。ただ、玉置さんの『LOVEだねぇ~♪』
の歌のフレーズはずっと頭の中でリピートしてましたけどね(笑)(ちなみに、我南人さんの
イメージとはちょっとズレてるけど、玉置さんの歌声自体は大好きです!)。
かんなちゃんと鈴花ちゃんも3歳になって、愛らしさ爆発状態でした(笑)。毎朝、
家族のみんなの席をいちいちその都度指摘するところが微笑ましい。こんなに家族いっぱいに
囲まれて育つなら、性格が曲がることもないんだろうなー。花陽と研人もほんとに
良い子に育っているものね。研人は今回、突然進路に関してとんでもないことを言い出しますが、
きちんと家族の言うことを聞いて、自分で一番いい道を選んだのだから、成長しましたよね。
花陽と研人の関係がすごくいいなーと思います。ほんとの姉弟みたいでね。花陽は高校生
とは思えないほど大人に感じるなぁ。私が高校生の時は、こんなにしっかりしてなかったよ。
自分の将来の為に、いろんなことを我慢して勉強一筋に頑張るところは偉いとは思うけど、
もうちょっとハメを外してもいいんじゃないのかなーって気もしますけどね。若いのだからね。
堀田家の蔵のデジタルアーカイブ化には、時代を感じさせられました。老舗の
古本屋も、パソコンのお世話になる時代なんだなぁ、とね。意外だったのは、勘一さんが
そういうデジタル化にも寛容な点。もっと古い考え方で、そんなのいらん!ってタイプ
かと思いきや、必要なものなら何でも利用した方がいい、という柔軟な考え方が出来る
方なんですね。こういう臨機応変的な思考が出来るからこそ、東京バンドワゴンがずっと
変わらずに営業を続けていられるのかもしれませんね。
我が家は現在二人暮らしの核家族なので、堀田家のようなたくさんの人に囲まれた食卓には
少し憧れますね。以前、兄の子供が小さかった頃、実家でみんなでご飯を食べている時に、
甥か姪のどっちかが、『みんなで食べると美味しいね!』ってニコニコしながら言ったのを
思い出します。ほんとだねー!って嬉しくなったっけ。
堀田家にはずっと、こうして賑やかな食卓を囲んでいて欲しいですね。
今回も、ほっこり温かい気持ちで読み終えられました。LOVEだねぇ!


若竹七海「御子柴くんの甘味と捜査」(中公文庫)
今年は、こんなに立て続けに若竹さんの新作が読めるとは、嬉しい限りです。
読んでる途中で文庫裏表紙の内容紹介を読んで初めてこの作品が『プレゼント』の続編
だと知りました。というか、『プレゼント』は当然発売時に読んでる筈ですが、
まーーったく内容を覚えてませんでした^^;なので、御子柴くんも小林警部補のキャラも
きれいさっぱり忘れており・・・全然続編って感覚じゃなかったです^^;
でもでも!あとがき読んだら、若竹さんご自身が二人のキャラを全く忘れた状態だったと
言うのだから、私が忘れてたって仕方ないよね!だって作者自身が忘れてるんだもん!!
(完全なる開き直り)
それに、今回の作品は連作短篇形式で一話完結作品なので、全く問題もなかったです。

内容はというと、主人公は長野県警から東京の警視庁へと出向させられた御子柴刑事、
甘党の上司や同僚から、ことあるごとに様々な名物スイーツを要求され、その度に仕事の合間に
買いに走らされる理不尽に耐えつつ、担当した捜査の解決に奔走するドタバタコージーミステリ。
ただ、毎回、最終的に事件を解決に導く推理を開帳するのは、彼の元上司である小林警部補。
御子柴くんが度々いろんな人のパシリに使われているのを不憫に思った小林警部補、ちょくちょく
彼を気遣って電話をかけて来ます。その時に御子柴くんが語る現在担当している事件のあらましを
聞いて、鋭い視点で事件の真相を見抜くのです。小林警部補が事件の真相を御子柴くんに
仄めかす時の、『なーんか変なこと思いついちゃった』のセリフがなんとも可愛らしくてほのぼの。
ちょっと思いついちゃったけど、本気にしないでね、みたいな自信なさげな言い方が、定年も
近くなった初老の男性の言い回しっぽくなくて、お茶目なんだもの。でも内容はしっかり
事件の本質を掴んでいるのだから、侮れない。『プレゼント』での小林警部補はどんな
感じだったんだろ。き、気になるぞ。こうなると俄然『プレゼント』を読み返したくなる
のは当然のことで。今度図書館チェックしてこようっと。
ただ、それぞれの事件のからくりは、正直ちょっと登場人物がごちゃごちゃしててわかり
づらかったのですよね^^;だから、すっきり感心~!って感じのお話はなかったような。
ちょこちょこ若竹さんらしい毒が効いているところは良かったですけどね。あと、甘味の方の
扱いがちょっと雑だったのが残念だったかな。というか、御子柴くんが甘味を買いに走らされる、
という設定が必要だったのか自体にちょっと疑問を覚えたりして・・・。もうちょっと事件の真相
に甘味が関係していれば違った印象だったと思うんですけども。
でも、出て来る甘味はみんな美味しそうでした。その地元でしか変えないスイーツって、やっぱり
食べてみたくなるものですよねー。