数々の問題作を世に送り出して来た西澤保彦さんの「腕貫探偵 市民サーヴィス課出張所事件簿」。
悩みを抱えた人の前に何故か突然現れ、話を聞いただけで問題を解決してしまう市の
臨時相談窓口職員が探偵を務める連作短編集。探偵役は神出鬼没にして正体不明の市の職員
で名前も出て来ませんし、とにかく不思議な設定。腕貫探偵とは、市の職員がよく腕にはめて
いる腕貫から。非常に飄々としたキャラクターで、ある意味特徴がない所が特徴と言えるかも。
それぞれ独立した短編ですが、少しづつ登場人物が繋がっているので、トータルで読んでも
面白いです。
西澤さんといえば、SFとミステリを融合させた奇抜な作品が多いので、その手の作品と比べると
地味な印象ですが、ユーモアがあって、私は結構好きな作品です。実は今読んでいるのが氏の
「キス」という作品。衝撃度No.1の森奈津子シリーズ。さすがにこちらの作品はご紹介できかねる
ので（というかお薦めできません）、「腕貫～」の方を取り上げました。そろそろタックシリーズ
も読みたい所ですが、ご予定はあるのでしょうか。
