ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

名取佐和子「寄席わらしの晩ごはん」/秋川滝美「マチのお気楽料理教室」

こんばんは。あっついですねぇ。なんか急に真夏の暑さになったから、身体が
ついていかない感じ。夏ってこんなに暑かったんだっけ・・・。
今年は夜になっても気温が下がらないから、寝ている間もエアコンつけっぱなし。
今月の電気代ヤバそうだなぁ・・・^^;;


今回も二冊ですー。


名取佐和子「寄席わらしの晩ごはん」(富士見L文庫
ひょんなことから下町の寄席『八百万亭』に棲む妖怪(?)寄席わらしの晩ごはんを
作る『特座』に任命された青年、晴坊のお話。以前に、アンソロジーで一作だけ
読んだことがあって、一作にまとまったと知って読むのを楽しみにしていました。
座敷わらしのような風貌のフクちゃんがとにかく愛らしい。フクちゃんが
晴坊の作るご飯を美味しそうにニコニコと頬張る姿にいちいち癒やされました。
八百万亭に来る前の晴坊がどんな生活をしていたのかがちょっと気になりましたね。
ネットカフェで寝泊まりしていたっていうけど・・・八百万亭で特座にならなかったら、
あわやホームレスだったわけで。家族のことも一切出て来なかったし、本名
すら出て来てないですしね。フクちゃんを見ることができる能力があって
ほんと良かったですよねぇ。晴坊とフクちゃんのやり取りがほのぼのしてて、
あったかい気持ちになりました。晴坊が作る料理も、最初はぎこちなかった
のに、だんだん上達して行ったし。フクちゃんへの愛情がなせる技でしょうか。
最終話に出て来た、フリーライターの日奈子がフクちゃんのことをやたらと
貧乏神と連呼するのにイラっとしました。まぁ、彼女は彼女でちゃんと
八百万亭の歴史を調べた上で確証があって発言しているのはわかりましたけど。
でも、晴坊があれだけ貧乏神じゃないと訴えているのに、しつこく貧乏神と
言い続ける無神経さが腹立たしかったです。悪い子じゃないみたいで、
もしかしたら今後も晴坊たちの前に現れるのかもしれないですが。そして、
晴坊との間に恋愛感情が芽生える可能性もありそう・・・?タイトルに
巻数が書いてないから、シリーズ化されるかもわからないですけど。
晴坊の落語家としての成長も気になるし、愛らしいフクちゃんにまた
会いたいので、続編が出るといいな、と思います。


秋川滝美「マチのお気楽料理教室」(講談社
ぼったくりシリーズが終わってしまって寂しく思っていましたが、新刊も
また、お料理にまつわるお話でした。こちらもシリーズ化されるのかはよく
わかりませんが。秋川さんって、ほんとにお料理がお好きなんでしょうね
(あとお酒)。
今回は、自宅の二世帯住宅の一階で郷土料理のお料理教室を始めた万智が
主人公。ツアーコンダクターをしていた万智は、義母の介護を理由に
仕事を退職したものの、一年あまりで義母が亡くなってしまう。
やることもなく心に穴が空いたような状態になっているところ、夫からの
勧めで、旅先で学んだ料理の知識を生かして、自宅の一階で郷土料理の
料理教室を始めることに。不定期開催で一度に募集する定員は5名まで。
SNSで告知をし、毎回生徒を募っていた。
常連さんが来てくれるようになって、ほぼ毎回定員が埋まるようになって
いたが、ちらほらと理由ありのご新規さんがやって来て――。
SNSで告知をして生徒を募るってところが今どきだなぁと思いました。
自宅で料理教室を開催する人は実際、世間でも増えているらしいですね。
この間、テレビでやってるのを観ました。地方の郷土料理が学べるって
ところが普通の料理教室と違って新鮮でした。その土地でしか食べられない
ものってたくさんありますもんね。私も、旅行先で美味しかったものを
家に帰って作り方検索して、実際作ってみることは結構ありますね。
同じように作れるとは限らないですけど。今、検索すると、大抵の料理の
作り方って出て来るんですよね。便利な世の中になったなぁと思います。
私自身は母からほとんど料理を習っていないので、今のネット時代じゃ
なかったら、悲惨な結婚生活になっていたかも・・・。
万智さんの夫がめちゃくちゃ理解あるいい人で、幸せそうだな~と
微笑ましく思っていたのですが、後半で意外過ぎる彼女の家庭の事情が
明らかになってびっくり。幸せいっぱいでいい人しか出て来なかった
ぼったくりシリーズとは違って、主人公が大分重い内情を抱えた物語でした。
でも、過去にいろんな出来事があったとしても、今の万智さんが幸せ
そうだから、それでいいのかな、と。いろんな経験を重ねた上で、
今の幸せがある訳ですから。
気軽に参加できる万智さんのような料理教室だったら、私も体験して
みたいなーと思いました。