ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

小路幸也「アンド・アイ・ラブ・ハー 東京バンドワゴン」(集英社)

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シリーズ第14弾。年に一度のバンドワゴン。このシリーズとしゃばけシリーズは、

一年に一度のお祭りみたいな感じで新作が出るのが定番になってますね。年に一度は

会える親戚みたいな感じ。常に会わなくてもいいんだけど、やっぱり年一回くらいは

会って近況を知りたいっていうかね。だから、今年も再会出来て嬉しかったです。

ちなみに、実はしゃばけシリーズの最新作『てんげんつう』も先月読んでまして、

記事も書いたのですけれど、PCのメモ帳で下書きして保存しておき、後日こちらに

上げようとコピー&ペーストしたら、なぜかすべてが文字化け。すでに本も返して

しまった後で、後の祭り。敢え無く記事アップ断念。ショックでした・・・。

それ以降、記事はこちらのサイトで下書きして保存することにしました。

それなら文字化けや消去の心配がないですからね。最初からそうすりゃ良かったの

だけど、下書き機能の存在がわかってなかったもので^^;

 

まえ書きがながくてすみません^^;

今回も、堀田家の四季を描いた四部作形式。秋からスタートです。花陽は医学部に

合格して大学生活が始まっていますね。そして、そんな設定になったんだっけ?と

首を傾げたのは、建人の彼女、芽莉依ちゃんが一緒に住んでるところ。前作でその

流れが出て来てたんだろうけど、すっかり忘れてて、え、一緒に住んでるの!?

とびっくりしちゃいました。もう、すっかり堀田家の嫁みたいな扱いになってるし

(笑)。まぁ、小学生の頃から彼女なんだし、とっくに家族の一員って扱いだった

んでしょうけども。でも、堀田家じゃなかったら、結婚前の恋人同士が彼氏の

実家に一緒に住むって、なかなかないですよね。この辺りは、堀田家の懐の深さ

なのかな。とはいえ、建人と一緒の部屋に住んでいる訳ではなくて、大学生に

なった花陽と相部屋なんですよね。建人は藤島ハウスに住んでいて、一人暮らし

(ここは堀田家の離れみたいなものなので、実質一人部屋くらいの意味合いで

しょうが)。

その辺りは、まだ一線を引いているって感じなんですかね。でも、はっきり建人は

芽莉依ちゃんとの結婚を名言してますからねー。こんなに若いのに、しっかりお金

も稼いでいるし、将来のことも考えてる十代も珍しいような。子供の頃から大人に

囲まれて生活してるから、自ずとしっかりするんでしょうね。

今回は、悲しい別れと切ない別れ、二つのお別れが出て来ます。悲しい別れの方は、

前作からの流れでほぼ覚悟は出来ていたのですけれど。やっぱり、実際にそういう

シーンを迎えると、悲しいものです。このシリーズは、リアルタイムで時間が流れ

ている設定だから、どうしたって、順番にそういうシーンが出て来るのは仕方が

ないことですね。一番今恐れているのは、勘一さんの今後ですね。でも、今の所

ほんとにこの感じで行くと、百歳まで生きそうなくらいお元気ですから、まだまだ

お迎えは先だと思いたいですけれどもね。

もう一つのお別れは、ちょっと突然でびっくりしました。確かに、その人物に

関して気になる描写はちょこちょこ出て来ていたのですけれど。その理由には

意表をつかれました。ただ、その年齢ならば当然あって然るべき症状ではあるの

ですけれど。多分、症状が出始めてから、すぐにこの先のことを考え始めたので

しょうね。みんなの迷惑にならないように・・・せつなすぎます。そして、更に

驚いたのは、その秘めたる想い。そうだったのかぁ・・・!って感じでした。

女性二人に託した願いが切なかったなぁ。当の本人には最後まで知らせないまま

終わるっていうのが何とも。伝えたところで、どうにもならないこともわかって

いるのだけれど。せめて、若い女性二人(+本人は知らないけれどもサチさん)が

その想いを受け止めてくれて良かったな、と思いました。

そして、今回、シリーズファンなら誰もが憂いていた、あの人物の恋愛問題にも

進展が・・・!ってか、お相手の方、以前の作品には出て来てたみたいだけど、

全然覚えてなかったので、まさかそんな展開になるとは思わず、びっくりしました。

個人的には花陽ちゃんがお似合いだとずっと思って来たから、ちょっと残念な

ところはあるのですが、花陽ちゃんは花陽ちゃんでボンさんの息子、麟太郎さんと

めっちゃラブラブですしね。

それに、恋愛や結婚や子供に関する価値観のことを考えると、一番良いお相手

なのかな、とも思いました。とにかく、お互いの価値観を押し付け合うことも

なく、自然な形で一緒にいられるのなら、きっと大丈夫ですよね。

堀田家の家族の形は、少しづつ変化しながらも、平和に進んでいるようです。

来年また会えるのを楽しみにしていたいと思います。