ミステリ読書録

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山里亮太「あのコの夢を見たんです。 短編妄想小説集」(東京ニュース通信社)

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祝・ご結婚!・・・て訳じゃないんですが、南海キャンディーズの山ちゃんの

妄想小説集。山ちゃんの文章は、少し前にエッセイ読んで結構好きだったので、

小説も面白そうだなーと思って借りてみました。人気あるみたいで、かなり

待たされましたけども。

実際のアイドルや女優さんをモデルに、様々な妄想を駆使して描かれた短編集。

あて書き小説とでも云うんでしょうかね。実在する女性たちが主人公だから、

脳内映像化もしやすいです(顔が思い浮かばない方も何人かいらっしゃいました

が^^;)。あと、脇役で山ちゃん本人や、モテない独身芸人たちをモデルに

した人物もちょこちょこ登場するのも楽しい。いろんなタイプのお話があって、

山ちゃんって、本当に想像力が豊かなんだなーと思わされましたね。妄想なら

いくらでもアイデアが湧いて来るってことかな。文章は特別上手いという感じも

しないけれども、芸人さんが書いたっていう素人くささみたいなものもあまり

感じなかったです。読みやすいし、入り込みやすい。表現もわかりやすいので、

より映像化しやすいんじゃないのかなー。ただ、ところどころ、視点が唐突に

入れ替わったりして、今誰視点の文章なのかがわかりにくいところは改善の余地

ありって感じではありましたけど。

読書メーターの他の方のご感想読んでいたら、結構酷評よりの評価も多かったの

だけれど、私は結構面白く読みました。16編も入っているのですが、それぞれに

作品のアプローチ方法が違っていて、意外と飽きずに読めましたし。青春小説

っぽいの、SFっぽいの、ファンタジーっぽいの、漫画のパロディっぽいの・・・

オチがあるようでない作品も多かったですけれど。

個人的には、モテない四人組『闇4』が出て来る作品が好きだったな。山迫、

田串、桝井、若森の四人。山迫=山ちゃん、田串=アンガールズ田中、若森

=オードリー若林、まではわかったんですけど、桝井のモデルだけ読んでる時は

わからなかったんです。でも、読書メーターの感想読んでたら、桝井=バカリズム

と書いてらっしゃる方がいて。本名調べたら、升野って言うんですね。初めて

知りました^^;

取り上げられているアイドルや女優さんたちは、山ちゃんがその時気になっていた

女性たちらしい。最近売出し中の女性たちばかりなので、山ちゃんの好みがなんとなく

わかるような(笑)。残念ながら、蒼井優さんは出て来ませんが(そりゃそうだ)。

私の好きな橋本環奈ちゃんが出て来なかったのがちょっと残念だった。あと、

今人気沸騰中の今田美桜ちゃんとか。これ、書こうと思ったら、いくらでも続け

られそうですよねー。山ちゃんの妄想ネタの引き出しがある限り。芸人さんだから、

妄想はお得意でしょうしね。

個人的には、広瀬すずちゃんのお話が好きだったな。顔の悪い巨人(山ちゃん)と

心優しく美しい女の子の優しい交流と悲しい結末に切ない気持ちになりました。

まぁ、女優さんとしては、姉のアリスちゃんの方が好きなんですけど(アリス

ちゃんも脇役で登場しますが)。

あと、中条あやみちゃんのも面白かったな。あやみちゃん、可愛くて好きなんです

よねー。これは、役柄がぴったりだな、と思っちゃいました。男にモテまくって

告白されまくるものだから、逆にフラれてみたい、と『追いかけ屋』に依頼して、

男を追いかける側を味わうってお話。ラストでちょっとしたどんでん返しみたいな

ものもありましたし、なかなか良く出来てるな、と思いました。

山ちゃんって、ほんとにいろんな引き出しがある人だなーと思いましたね。

こういうあて書き小説じゃなくて、本当にオリジナルの小説も読んでみたく

なりました。