ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

神永学「心霊探偵八雲 Short Stories」(角川文庫)

心霊探偵八雲シリーズ短編集。ショートストーリーばかりを集めているので、

一編が短く、さくっと読めちゃいます。読みやすいし、本編のように八雲父とか

美雪とか一切出て来ないから、重すぎなくて良かった。

晴香がやたらと八雲に心霊関係の悩み事を持ち込んで来るので、本当に彼女自身が

トラブルメイカーなのが良くわかります(苦笑)。なんだかんだで彼女の依頼を

受けて振り回される八雲が気の毒になりつつ、微笑ましい。

13編が収録されています。

 

印象に残った作品のみ軽く感想をば。

八雲の<映画研究同好会>の隣に部室がある<ミステリー研究会>に所属する

半田君を主人公にした『半田くんの推理』はクスっと出来る掌編。半田くんの

推理が1ミリも合ってないところが可笑しかった。

八雲と晴香が奈緒を夏祭りに連れて行く『夏祭り』で、はぐれた奈緒が一緒に

いたお面の男の正体がわからなかった。他のシリーズに出て来るキャラクター

なのかな??誰か解説してください・・・。

後藤刑事の高校の同級生だった男が罪を犯して逃亡する『後藤の憂鬱』は、

後藤刑事のお人好しなところがよく出ている一編。口は悪いけど、本当に心根の

優しいいい男ですよね。それだけに、石井さんへの風当たりの強さだけは

何とかしてあげて欲しいですけどね(苦笑)。

八雲と晴香が駅で助けた男の顛末を描いた『黒い表紙の本』は、ラストに明かされる

この男の正体にニヤリ。八雲が助けなかったら、このシリーズどうなっていたのやら

(苦笑)。

『邂逅』は、いろんなシリーズのキャラ大集合・・・みたいなのだけど、読んで

いないシリーズのキャラも入ってるみたいで、ピンと来ない人もいました。

下北沢にあるバーのマスターは、山猫シリーズに出て来る人・・・なのかな?

山猫シリーズは一作も読んでないからなぁ。そのうち読んでみるべきかな。

御子柴先生も名前だけだけど登場するし。神永さんのシリーズは全部が繋がって

いるんですね。ファンには嬉しい一編かも。

ラストの『あの日の君』は、シリーズ1作目の晴香との出会いを八雲サイドから

見たもの。これ読んで、また1巻から読み直したくなっちゃいました。ここから

二人の物語が始まったのですものね。短いけれど、貴重な一編じゃないでしょうか。

 

シリーズファンには嬉しい短編集じゃないかな。シリーズが終わっても、こうやって

八雲や晴香と再会出来るのは嬉しいことですね。

一心さんが出て来るお話が読めたのも嬉しかったな。