ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

斜線堂有紀「楽園とは探偵の不在なり」(早川書房)

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全く予備知識のない作家さんだったのですが、読書メーターの『今読みたい本

ランキング』で1位になっていて、気になったので借りてみました。

・・・うーむ。なんというか、いろんな意味でB級感満載の作品だった。ハード

カバーの単行本体裁だけど、正直、文庫本とかで出した方がいいような内容だと

思いました。もともと電撃文庫とかでデビューされた方みたいで、そちら方面で

活躍されているようですし。二人以上人を殺すと天使によって地獄に落とされる

世界で起きる連続殺人事件、という奇抜な設定自体は面白い着眼点とも云えそう

ですが・・・。ただ、この基本設定自体の練り込み方が今ひとつで、なんだか

説得力がないんですよ。天使のキャラ造形もどっちかっていうとビジュアルは

悪魔みたいだし(蝙蝠みたいな羽で、顔は目鼻口もない)、二人以上殺すと地獄

ってのも、なんで一人までは許されるの?という部分は曖昧なまま。この二人以上

人を殺せないっていう設定を孤島で起きる連続殺人事件に上手く絡ませたいという

気概は十分伝わって来たのだけれど、細かい設定がざっくりしているせいで、

トリック説明されても、なんとなく腑に落ちない気分で読み終える羽目になって

しまった。なんか一つ一つの設定に必然性がないんですよね・・・作者の思いつき

だけで世界作っちゃってるからなのか。

そもそも、天使が降臨したって言うけど、あんなビジュアルで天使って言われても。

顔がないのっぺらぼうの天使なんて嫌だーー。わざわざ、私たちが思い描く天使像を

ことごとく覆すような設定にする必要があったのだろうか。天使なのに、人間を

地獄に突き落とすってのも理解出来ないし。神様からそういう使命を与えられて

いるってことなんだろうけど、それにしては、普段は言葉も発せず、ただ空中を

ふらふら漂っているっていうだけの存在でしかなかったりするし。もうちょっと

厳かな風体にすれば良かったのに。なんか、天使の扱いが杜撰すぎるんですよ。

金持ちの道楽で売買の対象になったりとか。人間を地獄に突き落とすような力を

持つ危険な存在が、ペット感覚で取引される?あり得ないでしょう・・・。

登場人物一人一人のキャラ造形も、ちょっと薄っぺらい。主人公の探偵・青岸の

辛い過去には同情するところもあるけど、何かある度にいちいち過去の感傷的な

青臭い思い出や感情が出て来て、ちょっと食傷気味になってしまった。

クローズドサークル内で起きる連続殺人の真相は、まぁそれなりに整合性は取れて

いるのかな、とは思いましたが、最終的な黒幕(真犯人)は、正体も動機も、犯行が

明らかになった後の行動も含めて、すべてが、金田一少年とかコナン君で出て

来そうな展開で拍子抜け。漫画だったらこれでいいのかもしれないけどさー・・・。

あと、エピローグがまた蛇足としか思えなかった。仲間たちがどれだけ青岸を

慕っていたかがわかるエピソードではあるのだろうけど・・・もう、いちいち

会話とか言葉がこっ恥ずかしい。青岸以外の全員がこんな恥ずかしいメッセージを

撮っていた、というのも理解出来ないし。最後までラノベ臭漂う作品だった(別に

ラノベを貶めている訳ではありません!)。

巷では絶賛されてるらしいけど・・・私にはちょっと合わなかったです。文章も

ちょっと・・・。他の作品読んでみようって気にはならなかったなぁ。前評判が

良かっただけに、ちょっとがっかりな読書になってしまった。また黒べるが

出てしまった。今年はなんか多いなぁ^^;;