ミステリ読書録

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櫻井とりお「図書室の奥は秘密の相談室」(PHP研究所)

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以前読んだ『虹いろ図書館のへびおとこ』が結構印象的だった櫻井さんの新作。

『虹色図書館~』に続編が出てたみたいなんだけど、全然気づかなかった^^;

図書館に入っているのだろうか・・・今度チェックしておかなくては。

今回は学園の図書室が舞台。必死の受験勉強の末、私立のリベルタス学園中等部に

入学した井伏葉月は、入学早々、雨の中、大事な文庫本を落として濡らしてしまう。

そこに行きあったのは、妖怪のようなアッシュグレイの髪をした先輩のキサラギ

キサラギは、葉月に濡らした本の対処法を教えてその場を去って行った。後日、

本好きの葉月は図書委員会に入るが、そこでキサラギと再会する。リベルタス学園の

図書室は、ほとんどの蔵書が電子化されていて、紙の本は数年前にほとんど処分して

しまったという。しかし、図書委員たちは、図書室に紙の本を取り戻したいと考え、

様々な手を使って紙の本の収集に勤しんでいる。その中でも、キサラギは、図書室

の中に相談室を設け、生徒たちから持ち込まれた相談事を解決しては、その報酬

として紙の本を寄贈してもらうという活動をしていた。葉月は図書委員になって

早々に、キサラギの助手に任命されることに――。

コンセプトは5分間で読めるノンストップショートストーリーということで、

12ヶ月12の物語が収録されています。一作は短いですが、5分で読めるかと

いうと・・・ちょっと無理なような。

図書委員会のメンバーたちがみんないいキャラでしたね。ひとつひとつの謎解き

はそんなに特筆すべきものはなかったけれど、ラストに判明するある事実には

えぇーーーーっっ!とびっくりしました。確かに、表紙のイラストとか、途中の

あるエピソードとか、ちょこちょこ伏線は出て来ていたけれども。予想外の展開に

驚かされたなぁ。すっかり騙されてしまった。その事実をふまえて前のいろんな

場面を読み返してみると、なるほど、意味深な書き方してるじゃないか。

こういう展開は想像してなかったので、ちょっと意表をつかれる作品だったな。

キサラギのキャラが結構お気に入り。葉月ちゃんがキサラギにドキドキしてる姿が

可愛らしくて、青春だなぁ~~~って思ってたんだけどなぁ。まさかのラストだった。

でも、最後の最後はほんわか終わって良かったです。キサラギと葉月ちゃんの

その後も読んでみたいな。きっともっと仲良しになれるんじゃないかな。

さくさく気軽に読めてとても楽しめました。良質なジュヴナイルとして、若い世代の

子たちに読んで欲しいかな。