ミステリ読書録

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町田その子「コンビニ兄弟2 テンダネス門司港こがね村店」(新潮文庫nex)

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シリーズ第二弾。面白くて読みやすくてあっという間に読み終わってしまった。

これの前に読んでいた日明さんの文章があまりにも冗長でまだるっこしかった

から、さくさく読める町田さんの文章が心地良かった。読みやすいって大事だわ。

北九州市門司港のコンビニを舞台に、フェロモン店長とエキセントリックな弟が

悩める客たちを癒やしていく、心温まる人情ストーリー。今回は、三人の主人公が

出て来ます。酷い失恋をして傷心の女子高生、平凡な自分に嫌気がさしている

大学生、親友とケンカ別れをして以来、心に穴が空いてしまい、今の学校の友達

たちと上手く付き合えない女子高生。女子高生が二人いますが、全然別の人物です。

三話目に登場した美月は、前作に登場していた、いじめっ子。いじめた側が、

今度はいじめられる側に周り、自分のしてきたことを省みるというお話。今更とも

思いますが、こういう機会があって、自分のしてきたことがどれだけ酷いこと

だったのか、気づけたのは良かったと思います。これからは、絶対そういうことは

しないでしょうし。そのうち、梓ともテンダネスで再会する日が来るでしょう。

そうしたら、志摩も含めて、いい友達になれるんじゃないかな。

個人的には、一話目の詩乃の話が一番好きだった。着飾ることなど全くしなかった

祖母が、なぜか突然身なりに気を遣い出し、変身した。それはなぜなのか。

ぶっきらぼうな祖母の寂しさや優しさに気づいて、自分の言動を反省出来る詩乃は

とても良い子だ。祖母の恋も応援してあげる優しさもあるし。一人知らない土地に

来て、友達もいなかった祖母の心中を思いやることも出来る。きっと詩乃が次に

好きになる人は素敵な人に違いないと思えました(元彼はクソ過ぎた)。

二話目の廣瀬の話は、元カノの言動に辟易しました。こんなあからさまに

マウンティングしてくるとか、鬱陶しいったらないと思う。それでも、ちゃんと

彼女に向き合って、彼女が一歩踏み出せるように言葉をかけてあげられる廣瀬も

いい奴だ。総じて、自分を平凡だと思っている人間は平凡じゃないことが多い

のよね、多分。廣瀬の良さをわかってあげられる店長兄弟はさすが、人を見る目が

あるな、と思います。妹の樹恵琉(すごいDQN^^;)もね。

今回は店長の出番が少なかったような。まぁ、私の推しはツギの方なので。今回も

素敵だった~。特に、廣瀬の元カノの今カレがテンダネスに乗り込んで来た時の

対応が見事。スカッとしました。男も惚れる男、ツギ。

しかし、ラストでそのツギと関係がありそうな謎の女が登場。次回はその女に

よって波乱がありそうですね。ツギとは一体どういう関係なのか。樹恵琉が

あれだけ女を嫌っている理由も気になります。

早く読みたいな~。