ミステリ読書録

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宮下奈都/「メロディ・フェア」/ポプラ社刊

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宮下奈都さんの「メロディ・フェア」。

大学を卒業した結乃は、田舎に戻り「ひとをきれいにする仕事」を選んだ。注目の著者が、真摯に
生きる女の子を描く、ささやかだけど確かな“しあわせ”の物語(紹介文抜粋)。


タイトルから、また『よろこびの歌』みたいに音楽の話なのかな?と思ったので手にとってみたの
ですが、お化粧品の話でした(笑)。お化粧が大好きな主人公の結乃は、大学を卒業して、地元に
帰ってショッピングモールの化粧品カウンターでビューティーパートナーとして働き始めます。
同じカウンターで働く凄腕の先輩に刺激されながら、志高く仕事に邁進しようと意気込む結乃
でしたが、お客は思うようにつかず、思い通りに行かない日々。それでも結乃は、「ひとを綺麗に
する仕事」を選んだことに誇りを持って、一歩づつ先に進んで行きます。結乃が頑張る姿が清々
しくて、小さなことにも喜びを見出す彼女に好感が持てました。何も買わないのに、度々カウンター
の前に来ては世間話をして帰って行く、一見傍迷惑でしかない浜崎さんに対しても邪険に扱わず、
ちゃんと一人の客として接してあげるところがエライなぁと思いました。私だったら、毎回これ
やられたら、さすがに何度目かには顔に出ちゃうかも。でも、彼女が口紅を買いに来たシーンは
すごく良かったです。二人で彼女に似合う色を探して、ぴったりの色を見つけた瞬間は、私も
同じように嬉しくなりました。ほんの少し、お化粧するだけで、女性ってほんとに格段に綺麗に
なりますもんね。私自身はそれほどお化粧にお金かけたりしないんですが、やっぱり社会人として
最低限のお化粧はするし、興味はあります。ただ、職業柄、ひと通りのお化粧はするんですけど、
口紅はつけないので、普段プライベートで出かける時もついつい口紅だけ塗り忘れちゃうことが
多いんですよね~^^;普通、逆だと思うんですけど・・・(ファンデーション塗らなくても、
眉と口紅だけは忘れないっていう)。結乃ちゃんに叱られちゃいそうですが^^;私にとっては、
口紅よりはマスカラの方が大事かなぁ。もともと睫毛が短くて少ないから、いかにして睫毛を
ボリュームアップさせるかに命かけます(笑)。といっても、つけまつ毛は使ったことありません
けど^^;
メイクって面倒だなぁとは思うけれど、やっぱりきちんとメイクすると全然違うし、ちょっぴり
自信もつくし、ハリも出る。女性にとって、メイクってほんとに大事だと思う。特に働いている
女性にとっては。戦闘体制になるっていうかね。大げさかな^^;でも、やっぱり、ちょっとした
メイクだけでも、自分が綺麗になるのがわかるから、メイクってすごいと思う。まぁ、私は
すっぴんでもあんまり気にせずふらふら出かけちゃったりしてるので、絶対しなくちゃダメって
程拘りはないんですけど^^;たまに、すっぴんだと近くのコンビニにも行けないって女性も
いますよね。その気持ちはちょっとわからないかなぁ。

そんなこんなで、コスメカウンターで働く店員さんにはいつもお世話になっているので、すごく
興味深く読みました。私を担当してくれた女性たちも、こういうことを考えて仕事してるのかなぁ、
とか。店員さんの指名とかはしたことなかったけど。私はデパートで買うことがほとんどなので、
大抵毎回違う人が立ってるしな~。しかも、ファンデーションが切れた時くらいしか行かないから、
半年~1年くらい間開いちゃうし(マスカラやらシャドウやらの他のものはほとんどドラッグストア
か通販)。でも、良くしてくれた店員さんのことはやっぱり記憶に残るから、次も担当してもらい
たいなっていうのはあるかも。

なんか、話が脱線しまくってるな^^;すみません^^;
妹との確執やら、鉄仮面の友人ミズキとの関係やら、結乃には度々問題が持ち上がるけれども、
めげずに問題と向き合って、メイクを通して解決に導いて行く結乃が素敵だな、と思いました。
マネージャーの福井氏とのやり取りも良かったですね。最後はムフフ~な展開でしたし。なんだか、
二人お似合いだなぁとニヤニヤしちゃいました。
鉄仮面を剥がしたミズキや、お化粧を毛嫌いしている妹に、結乃がメイクを施すシーンも
良かったな。メイクによって、彼女たちの頑なな心がほんの少し溶かされて行くのがわかって、
嬉しくなりました。


『よろこびの歌』でも思ったけれど、この方の爽やかで瑞々しい感性はやっぱりいいですね。
何気ない日常を描いた作品なのだけど、読み終えて、ほわん、と優しい気持ちになれました。