ミステリ読書録

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望月守宮/「無貌伝~人形姫の産声~」/講談社ノベルス刊

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望月守宮さんの「無貌伝~人形姫の産声~」。

これは在りし日の名探偵と生まれいずる怪人の物語――。
「人形を見せてあげる」遥はそう言って、怪異が集まる島に秋津を誘った。そこに住むのは、幼き
彼女の姿をした人形と、男たち。遥の失踪。消えた1日の記憶。破られた封印……。命の灯が1つ
消えるたび、一体の人形が動き出す。孤島に秘められた悲愴な真実に秋津はたどりつけるのか!?
(あらすじ抜粋)


すでに誰も追いかけていないこのシリーズ。私もそろそろもういいかな、と思いかけてはいるの
だけれど、毎回しっかり図書館に入荷されるので(おそらく、コアなファンがリクエストして
いるのでしょう)、つい気になって借りてしまいます(苦笑)。

今回は、秋津探偵と、妻の遥さんとの馴れ初め(?)編。出会った頃の二人って、二人ともキャラが
随分と違っていたのですね。馴れ初め編といっても、最初と最後しか遥さんが出て来ないので、二人
一緒のシーンがほとんどありません。確か、前作では秋津が同じような立場で途中退場して出て来な
かったし、このシリーズって、主要キャラを極力登場させないことで勿体ぶりたいんでしょうか^^;
毎回、無貌やらヒトデナシやらの設定をすっかり忘れているので、そこに慣れるのに時間がかかって
しまうんですよね~^^;今回、無貌は出てくるものの、登場させることに意味があるのか?って
思うくらい、どーでもいい位の扱い。ヒトデナシの方はかなり深い関わりがあるので、そちらの
設定をきちんと把握していないと、謎解きの場面で何が何やらって感じになりかねません・・・
というか、何を隠そう、私がそうだった^^;いろんなヒトデナシが出て来るんですが、いちいち
役割が違うし、細かい設定が出て来るので頭が混乱しまくりました^^;で、結局謎解きされても
「ふーん」って感じでいまいち頭に入って来なかった^^;一作目はそこで結構感心したんだけどなぁ。
なんだか、一作ごとに読むテンションが下がって行くような・・・^^;確かに終盤のある部分では
騙された、と思える構成にはなっているのですけどね。五人の父親の死が全部○○だったってのは、
なんだか無理があるような気がしなくもなかったです。そもそも、こういう真相の作品は好きじゃ
ないんだってば。これ持ってこられると、一気にテンションが下がってしまう^^;人間が死ぬ
代わりに、人形に命が吹き込まれる、という設定は面白かったですけどね。でも、映像を想像すると
かなりシュールなような・・・私、人形ってだけでちょっと怖いってイメージがあるんですよね^^;

ラストはお約束で想像通りの展開ではありましたが、やっぱり嬉しかったですね。秋津の選択の
理由にもほっとしました。まぁ、遥を捨てる選択をする訳はないと思ってましたけれど。
遥のキャラは、作品の前半と最後でブレがある気がして、ラストの遥視点の描写にはちょっと
違和感がありました。なんだか、最後まで今ひとつキャラが掴み切れなかったような。
秋津と二人のシーンがもうちょっと多かったら良かったな。遥が秋津に惹かれた理由とかもちゃんと
書いて欲しかったし、共通の友人である溝口が二人をどう思っているかとかも知りたかった。当然、
彼は遥の気持ちにも秋津の気持ちにも(本人が自覚していない時から)気付いていたのでしょう
けどね。

あの人形の館はその後も存続し続けているんでしょうねぇ・・・きっと、人形たちだけで楽しく
暮らしているんでしょう。遥が再びその場所を訪れることはないのかな・・・。もう湖を渡る
手段がないですしねぇ・・・(秋津みたいに泳いで渡る以外)。


個人的には望君のキャラを気に入っているので、そういう意味でもちょっと物足りなかったかな~。
次を読むかは、図書館に入荷されるかどうか次第ってことで(苦笑)。
ちなみに、最終ページにすでに次回予告が。
次のタイトルは『無貌伝~綺譚会の惨劇~』だそうです。次は元の時代に戻るのかな~。