ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

坂井希久子「朱に交われば 江戸彩り見立て帖」(文春文庫)

江戸版カラーコーディネーターのお仕事小説第二弾。一作目がとても面白かったので、

二巻を読むのを楽しみにしていました。

謎の京男・右近の紹介で、右近が働く呉服屋・塚田屋で色見立ての仕事をすることに

なったお彩。しかし、お彩を雇うことが面白くない上に、弟を目の敵にしている

塚田屋の主人は、何かと彩に突っかかって来る。自分はロクに仕事もせずに遊び

呆けてなかなか店にいないというのに。挙げ句の果てには、お彩に新たな江戸の

流行色を作り出せ、出来なければ右近ともども店から追い出すと言い出した。様々

な問題を抱え、お彩は頭を悩ませることに――。

今回も、お彩さんの色見立てはお見事でした。塚田屋の人々は、店主の奥方のお春

さん以外は敵ばかりで、気の毒になってしまいます。特に店主の刈安と番頭はイヤな

ヤツですねー!嫌味な言動ばかりで辟易しました。まぁ、江戸の時代なんて、

まだまだ男尊女卑まっさかりの時代だろうから、女性が仕事で出しゃばることが

許せないんでしょうね。でも、それをお彩さんの見立ての実力で黙らせて行く

のが痛快です。もっともっとやってやれー!って応援したくなりますね。

飄々とした右近のキャラも良いですね。右近のお春さんへの不毛な恋が浄化して、

いずれお彩さんの方を向いてくれたらいいのにな~と思ってしまいます。なんだ

かんだでお似合いな二人だと思うなー(お彩さんは嫌がっているけどw)。

今回も、聞いたことがない色の名前がたくさん。色の名前の羅列を読んでいる

だけでも、うきうきしちゃいます。どの名前も素敵!江戸時代の色見本帖、見て

みたーーーい!当時の流行は、芝居や浮世絵なんかがきっかけだったりしたという

のも納得。いつの時代でも、素敵なものを見たら、自分も同じものを身に着けたい

と思うものなんですねー。面白いなぁ。

しかし、ラストの引きが強すぎる。えぇーー、ここで終わりなの!?この先が

読みたいのにっ!って思いました。

お彩が作った流行色は果たして流行るのでしょうか。ああ、早く次が読みたいっ。