ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

畠中恵「こいごころ」(新潮社)

年に一度のしゃばけシリーズ第21弾。今回も若旦那は安定の虚弱体質。作中で

どれくらいの時間が流れているのかよくわからないのですが、現在の若旦那の

年齢っていくつくらいになっているのかな。シリーズ始めは十代だったと思うの

だけれど(17くらい??)。この時代に、これだけちょっとしたことで寝込んで

いるのに、生きていられるというのが、もうすでに奇跡のような気がする(笑)。

毎回(今回もだけど)、結構命に関わる危険な目に遭ったりもしているのに。

もちろん、最強の妖し二人がついているし、本人に妖しの血が流れているってのも

大きいのでしょうけどね。

今回は、やっぱり表題作の『こいごころ』が印象に残っているかな。小さな妖し

笹丸を助けようと頑張る若旦那が切なかった。いつもは若旦那の具合が悪くなる

ような厄介事を持ち込まれたら激怒する兄やたち二人が、なぜか文句も言わず

協力的だったのも、すべて笹丸の為だったとは。でも、理由を知って納得しました。

永遠の命を持っていると思っていた妖しにも、寿命があったりするのですね。

力の強い妖しだったら長生きするのでしょうけど、それ以外の妖したちはそうじゃ

ないってことでしょうか。長崎屋の妖したちだったら、一体誰が一番長生きなのかな。

仁吉と佐助は除外するとして。例えば屏風のぞきと貧乏神だったらどっちが?鳴家

は小さいし妖力も少なそうだからそう長くは生きられなかったりしそうだけど。

とか、いろいろ考えてしまった。笹丸ちゃんが○だったのはびっくりしました。

最後に一太郎に会いに来たってのがもう、なんとも健気で。最初、図々しいやつら

だなぁと思ったのだけれど。

今回は初登場の妖しも。長らく一太郎の主治医を務めて来た源信医師が突然隠居

すると言い出した。足を折り不自由をしていたことをきっかけに、品川の娘家族の

元で暮らすことにしたという。問題なのは、長崎屋の主治医の後継が誰になるか。

数人の候補の中で絞ることになった。候補の中には妖しの火幻も。一体誰が源信

医師の後継に選ばれるのか?

選ばれたのはやっぱりあの人物でしたね。まだ性格とか掴みきれないところも

あるけれど、なかなか面白いキャラクターですね。これから登場頻度も多く

なりそうです。少々乱暴なところもありそうですが、腕は良さそうなので、

ぜひとも一太郎の体調を少しでも良くしてあげて欲しいものです。

今回も、切ない話あり、ほのぼのした話あり、ちょっぴり怖い話ありで、安定して

楽しめました。若干ネタ切れして来たような気がしないでもないですけど・・・

また夢の中に囚われて危険な目に遭ってましたしね^^;