亡き祖母の代わりに連句会のお菓子番を勤めることになった一葉の成長を描く、
シリーズ第三弾。前作で再び書店員の仕事を得た一葉。彼女が勤めるブックカフェ
で少女マンガを題材に取り上げたトークイベントが開かれることになり、準備に
追われることに。しかも、なぜか一葉がイベントの司会を任され――。
今回は題材的に自分の好みドンピシャでした。なんといっても、昔の少女マンガ!
子供の頃から少女マンガで育った人間としては、懐かしい漫画家さんの名前や
少女漫画のタイトルに胸が踊りまくりでした。『ここはグリーン・ウッド』や
『ぼくの地球を守って』『BASARA』『BANANA FISH』・・・もう、全部大好き
な漫画です。この時代の漫画だったら、私も一日中語っていられますよ!(いらん)
だから、一葉のブックカフェが主催したトークカフェのようなものがあったら、
私も行ってみたい~~~!!って思いました。大学を卒業して社会人になってから、
一時期漫画から遠ざかって、小説の方にシフトした形になっていましたが、結婚して
なぜかまた漫画に戻って来てたりしてます(もちろん小説も読んではいますが)。
最近は全盛期よりも漫画読んでるんじゃないかなぁ。だから小説を読む時間が
なかったりもしてるんですけど^^;
うちは両親共働きで、あまり子供に構ってもらえなかった分、やたらと漫画雑誌を
買ってもらえたんですよね。漫画なんか読むな、勉強しろ、みたいなことは、一度も
言われたことがなくて。その点は、本当に親には感謝してますね。漫画で学んだこと
は本当にたくさんありますし。漫画がなかったら、今の私はいないってくらい、
漫画には影響されてます。小学生の頃の将来の夢は漫画家でしたしね~。友達と
放課後、漫画描いたりしていたなぁ。作中に、昔の、漫画を通した友達って、
すごく記憶に残っていたりするもの、みたいな描写があったと思うんですけど、
まったくその通りで。○○ちゃんとはあの漫画の貸し借りしてたな~とか、△△
ちゃんにあの漫画借りたな~とか、□□ちゃんはあの漫画が好きだったよな~とか、
そいういうことって今でも鮮明に覚えてる(他のことは大して覚えていないのに!)。
中学の頃は、好きだった漫画のキャラクターを仲間内で当てはめて、名前を呼び
合ったりしてましたっけ(山口美由紀さんの『V-Kカンパニー』だった。知ってる
方いるかなぁ)。
楽しそうなイベントで、こういうのうちの近くの書店でも企画してくれないかなぁと
思ってしまいました。一葉の堂々とした司会っぷりも良かったですよね。最初は
全く自信なさげでしたが、いざ始まったら開き直った感じでしたね。
連句の方は相変わらず細かいルールが面倒そうだなぁと思いましたが、『連句は
正解のない分岐の連続』という言葉に象徴されるように、捌く人によって全く
違うものになっていく、というのがよくわかって、本当に奥深いものだなぁと
思わされました。出発点の発句が同じでも、その後にどの句を選ぶかによって、
全く違う連句になって行く。本当に、ひとの人生の分岐と似ているな、と感じました。
そして、そうやって連句から何かを学び取って行くにつれて、一葉の心も成長
しているのが感じられました。何かを学ぶっていいことだなぁ。心が豊かになる感じ。
そして、本書にはもうひとつ、私の心を踊らせるものが出て来ました。終盤に
一葉が連句会のみんなで行くことになった、調布の神代植物公園。ここはバラ園が
あって、春と秋にバラ祭が毎年開催されているんです。コロナになってから
なかなか行く機会がないままになっていますが、大好きな場所です。今年の秋にも
開催されていたようですが、結局行けず仕舞い。来年こそは行きたいなぁ。
ちなみに、我が家のエース、ダブルディライトさんは、そこで買った子だったり
します。バラの苗もたくさん売っているんですよ~。
もちろん、植物園というだけあって、バラ以外の植物もたくさん。で、ちょうど
この本を読み追えた直後に、テレビから、この神代植物公園で世界最大級の花、
ショクダイオオコンニャクの花が咲いたというニュースが飛び込んで来ました。
なんとういタイムリーな。しかも、今年は、花と葉っぱが一緒に伸びたという
大変めずらしい状態で咲いたとか。観に行きたかったけど、2日くらいで花は
しぼんでしまうらしい。残念。
次に行った時は、ショクダイオオコンニャクと(花はもう咲いてないけど)、
本書に出て来たひとつばたごの木(なんじゃもんじゃの木)を確認して来るのを
忘れないようにしなくては。
今回も連句の奥深さを随所で感じることが出来ました。日本語の美しさを
しみじみと感じられるのもいいですね。やっぱりこのシリーズ大好きだなぁ。