ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

ほしおさなえ「言葉の園のお菓子番 復活祭の卵」(だいわ文庫)

シリーズ第四弾。亡き祖母が通っていた連句会『ひとつばたご』に、祖母の代わりに

月に一度お菓子番として通う傍ら、ブックカフェで働き始めた一葉。歌人の久子

さんと小説家の柚子さんによるトークイベントが好評を博し、今度は短歌の書き方

指南のイベントを開くことになった。しかも、そのイベントの企画を一葉が任される

ことに。責任ある仕事に尻込みする一葉だったが、前へ進む為にも引き受けることに。

そんな中、一葉は、『ひとつばたご』主催者の航人さんの過去にまつわる情報を

柚子さんから打ち明けられて――。

今回は、いつものように『ひとつばたご』で参加者たちが連句を作る様子も描き

つつ、一葉が手掛ける短歌のイベントの様子も追って行く形。連句も短歌も、

どちらにしても才能がないと作れないし、ひらめきと言葉選びの大事さを感じ

ました。ひらめきも語彙力もない私には到底無理だーーーと思いました^^;

特に連句は、何人かで句を出し合って創って(巻いて)行くものだから、いろんな

人の感性が重なって、思わぬ着地点になったりして、とても面白いです。誰の句を

採用するかによっても、全然方向性が違うものになって行ったり。奥が深いなぁと

思いますね。誰の句を採用するか決める『捌き』担当の人の感性も大事かな、と

思いました。

出来上がった連句を通して読むと、句の連なりというよりは、物語性のある詩を

読んでいるような印象を受けたりもします。ひとりひとり全然違った雰囲気の句

だったりするのに、通して読むとしっかり繋がりを感じられるというのも興味深い。

人と人とが縁によって繋がって行くように、連句も言葉によって人と人とを繋げて

くれるもののように感じられて、素敵な文学ツールだなぁと思いますね。

今回、一葉たちの『ひとつばたご』が参加した、連句の大会というのも面白そう

でした。でも、制限時間内があると焦っちゃいそうだと思いましたけどね^^;

今回、明らかになった『ひとつばたご』主催の航人さんの過去。彼の離婚には

こういう理由があったのですね・・・。少しの行き違いで、ああいう結末を

迎えてしまったことが悲しかったです。まぁ、少しづつ、歯車が合わなくなって

行ってたんでしょうけども。でも、完全に奥さんに非があるような・・・。お互い

に思ってることを何でも言い合える関係だったら、きっとああいう風にはなって

なかったんでしょうね。なんだか、やりきれないな、と思いました。でも、今回

再会してお互いの近況がわかったことで、少しわだかまりが解けたなら良かった

かな。

一葉も、ブックカフェでの仕事に慣れて、少しづつ責任ある仕事も任されるように

なって、成長しているな、と感じます。一葉が創る句も素敵なものが多いです。

才能あるんじゃないかなー。やっぱり、実体験から創られる句は説得力があって

いいですね。こういう才能が私にもほしい・・・(創作能力の才能ゼロ人間)。

毎度ながら、出て来るお菓子も美味しそうでした。