この間は表紙がブルーの『マイ・プレゼント』の方を読んだのですが、こちらは
赤バージョン。今回も美しい色彩の水彩画と詩のような優しい文章が心地良い
素敵な作品でした。画集気分で眺めるだけでも楽しいです。今回は赤が基調に
なっているので、前回の青い絵よりも温かみがあるような印象。青山さんは、
赤と青って取り合わせがお好きなのかな?それとも『赤と青とエスキース』から
インスピレーションを受けたから、本書(と『マイ・プレゼント』)が生まれ
たという方が正しいのでしょうか。赤と青というと、個人的には『冷静と情熱の
あいだ』を思い出すのですけどね(片方しか読んでないけど)。
疲れた心にそっと寄り添ってくれるような内容になっているのは前作同様。
中ですごく印象に残った文章が、ぶどうのつるを、ワルツを踊っているようだと
例えたところ。素敵な表現だなぁとうっとりしてしまった。また、それが書かれて
いる文章自体が、ぶどうのつるのようにくねくねして書かれているところもとっても
オシャレ。文章の書き方自体で内容を表現しているところも、前作を踏襲していて、
それ自体がアートのよう。面白いなぁと思いました。
あと、ザクロを見て、『こわい』と感じるところも、共感できました。私も、
昔に読んだマンガの影響で、『ザクロは血の味』って表現をすごく覚えていて、
当時からザクロの実を見ると、ちょっとぞくっとするんですよね。鬼子母神が
食べたってイメージもありますしね。ザクロの実自体は、食べるとこ少ないけど、
甘酸っぱくて美味しいし、透明感があってルビーみたいで、きれいだから好き
だったりするんですけどね。
ラストの、晴れの日に書かれた手紙に出て来る『君』と『僕』って、もしかし
て・・・?
ここで繋がるって思っても良いのかな。そうだとしたら、『マイ』『ユア』と
対になって刊行された意味もわかります。赤と青に拘って書かれた意味もね。
中に額縁職人が出て来る文章もありましたもんね。
15分くらいで読める作品だけど、素敵な文章と絵が詰まっていて、心温まる
作品でした。