ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

アミの会編「ここだけのお金の使いかた」(中公文庫)

アミの会の新作アンソロジー。タイトル通り、お金の使い方がテーマ。主人公

によってお金の使い方もさまざま。お金の使い方って、ほんとその人の性格が

如実に出ますよね。

私個人はあまり物欲がない方で、どちらかというと貯める方に喜びを見出して

しまうタイプ。必要最低限のものすらなかなか買えなかったりして、結構

貧乏性です。スーパーの半額セール品が大好物ですし(主婦はみんなそうか)。

独身時代からそうだったのですが、結婚してさらに自分の物が買えなくなったな。

あ、でも、バラ苗とか資材にはついついお金かけがち・・・これはもう病気に

近い^^;あと、一番お金使うのは旅行かな。これだけは倹約出来ないなー。

その為に働いてるようなところあるしね。

あ、あと、自分のものはケチるけど、他人へのプレゼントとかはケチらないですよ!

相方も結構同じタイプの倹約家なので、上手く行くのかもしれませんね。夫婦って、

お金の価値観大事ですよね。

 

では、各短編の感想を。

 

新津きよみ『百万円分の無駄』

宝くじで100万当たったら、どう使うか。ううーむ。悩む。主人公の純子

のような使い方はできないだろうな~^^;;あぶく銭だろうが、ウイスキー

一杯に2万5千円とか、使いたくないなー・・・(そもそもお酒飲めないし)。

でも、主人公にはそういう無駄なことに価値観を見出す時間が必要だったので

しょうね。

 

原田ひ香『一生遊んで暮らせる方法』

原田さんは多分、この手のテーマは一番お得意なのじゃないかな?話題になった

『三千円の使い方』は、予約が多くて読めてないけど、そちらも同じような

テーマですし、他にもお金を題材にした作品を結構書かれているような印象。

一生遊んで暮らせる方法があれば、そりゃ誰もが食いつきたくなりますよね。

でも、そこに落とし穴がある訳で。大抵、旨い話には裏があるもんです。遊んで

暮らせるお金があっても、夫婦が冷え切ってしまったら、幸せとは言えないです

よね。

 

大崎梢『12万円わんこ』

よく、ホームセンターのペットコーナーで売れ残ってる犬いますよね。私も、

たまにいく大型スーパーのペットコーナーで大きくなっても売れ残って大幅に

値下げされて所在なさげにしているわんこやにゃんこを見たことがあります。

最近はスーパーとかホームセンターのペットコーナーでの生体の扱いがどんどん

縮小されてるみたいですけどね。批判が多いんでしょうね。

この作品読んで、ペットタレントも大変なんだなぁと思わされました。そうした

友人の苦労を知り、その友人から新たな道を示唆されたことで、主人公が前向きに

新たな目標を持つことが出来るようになったのは良かったです。

 

長嶋恵美『廃課金兵は買い物依存症の夢を見るか?』

私にしてみれば、正直、スマホゲームに課金する側も、買い物依存症で、買い物

する為に転売ヤーになる側も、どっちも理解不能。でも、当人たちにとっては、

それがもう、生活の一部になっている訳で。相容れない二人だけど、それぞれに

抱えているものがあるからこそ、誤解が解ければ分かり合える関係ともいえるの

かな。タイトルは某有名海外SF(ミステリーだっけ?)のタイトルのもじりで

しょうね。読んでないけどw

 

福田和代『わらしべ長者のつくりかた』

最初、汗水たらして働きたくない、楽して金を稼ぎたいとかわらしべ長者

なりたいとか、ふざけたことばっかり言ってる主人公にイライラしっぱなしだった

のだけど、わらしべ長者作戦を通して、少しづつ本人の意識が変わって行くのが

わかって、終盤は全く印象が変わりました。困ってる人を助けてあげることに

全く躊躇もしてなかったし、そこに計算がないのも良かった。基本、良い子なんだ

よね。わらしべ長者を勧めてくれた友達のじいちゃんのキャラがとても良かった。

周りの人にも恵まれているのだから、しっかり目標を持って働けば、きっといい

方向に物事が進んで行くんじゃないかな。読後感も良かったし、これが一番好きな

作品だったかも。

 

図子慧『塾に行かない子どものための五つのクリンプス』

受験用の学習塾って、こんなに高額の費用がかかるんですね。世の中の親御さん

たちは大変だなぁと驚かされました。主人公の息子が失くしたゲームカードを

盗んだ犯人があっさり判明してちょっと拍子抜け。他人のものを盗んであまつさえ

捨てようとしていたのに、大したおとがめもなく収めてしまったのはどうなんだろう、

と思いましたね。親が開き直るタイプの人でなかったのは良かったですけど。ま、

盗んだ本人には天誅が下ったからまだましだったけど。でも、ちゃんと本人から

謝罪させるべきだったんじゃないかな、ともやもやしました。

 

松村比呂美『二千円の差額』

高齢者に限らず、ネット上での詐欺被害は誰にでも起こり得ることですよね。

私のPCメールにも、毎日のようにアマゾンやらカード会社からの詐欺メールが

入って来ます。即行削除しますけど、ほんと、めんどくさい。今はメールの

中身も本物のように巧妙になっているし、しっかりしているつもりでも、

脅されるような文章見ると怖くなって不安になってURLをクリックしてしまう

人がいても全然不思議じゃない。母親が詐欺サイトに引っかかってしまう話

なんですが、しっかりした娘がいてくれて本当に良かったです。誰にも

頼る人がいない場合はもっと悲惨なことになっていたでしょう。母親がサイトで

高額なバックを買った理由には胸が締め付けられました。夫に対する負い目が

ずっと心にあったことも。でも、ボランティア活動を通して、少し前向きになれて

良かったと思いました。