ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

七月隆文「ケーキ王子の名推理6」(新潮文庫nex)

シリーズも早第6巻になりました。前作でじれったい二人が両想いになり、

めでたいと思ってましたが、あの未羽に対して常に塩対応だったクールな颯人が、

両想いになった途端、こんなに甘甘になってしまうとわ・・・!!!(驚愕)。

こっちがこっぱずかしくなりましたよ。颯人みたいなタイプは、恋人同士の

イベントごとなんか、絶対やりそうもないと思ってたけど、まさかのサプライズで、

アドベントカレンダープレゼントとは。普通の男子より甘甘じゃんっ!!!

タイトルの『名推理』はどこ行った?と思いながら読んでましたが、3話目の

『パンケーキ』の回に来て、ようやく本領発揮。しかし、この回に出て来た客の

女性、知らない記憶喪失男拾ってそのまま同居(しかも外国人!!)って、

危機感なさすぎて大丈夫?って思ってしまった。案の定、とんでもない身の上

隠してた訳だし。性格的には悪い人じゃなかったんだろうけど・・・まぁ、彼女

にとってはかけがえのない思い出になったのかもしれないですけどね。

今回、やっぱり特筆すべきは、葵と漣の回でしょう。葵お嬢様のツンデレっぷり

には身もだえしちゃいましたよ。漣は未羽のことを完全に吹っ切れたみたいですねぇ。

葵の本心を知ってしまったし。良いカップルになりそうです。葵の未羽に対する

偏愛っぷりも面白い。なんで、そこまで?って思う部分もあるけど。天然で

裏表のない、未羽みたいな子が周りにいなかったせいかな。友達いない訳じゃない

みたいなこと言ってたけど、コイバナ出来るような友達はいなかっただろうからね。

終盤、未羽の熱いスイーツレビュースキルが生かせる仕事が見つかって、未羽も少し、

未来に向け動き出すことが出来て良かった。

ただ、ラストの、颯人と漣が出場したコンテストにやって来た、ルイ・デシャン

行動はあまりにも酷すぎる、と思いました。優勝作品をぶち壊しにするなんて。

言葉で批判するのはまだしも、手を出したのは許せない。いくらフランスで

名を馳せる有名シェフだからって、人が一生懸命作ったものを壊す権利はないはず。

しかも、優勝した作品に対しての行動ってことは、それを選んだ審査員たちのことも

侮辱したのと同じだと思うんですけど。まぁ、颯人はそうされても仕方がない出来

だと自覚していたようですが・・・。言葉で指摘するだけじゃダメだったのか。

なんか、ますます颯人にはルイに負けないで欲しいと思ってしまいました。

未羽もついてるし、頑張って世界を目指してほしい。そして、ルイを打ち負かす

ような美味しいスイーツを作って見返してほしいな。