ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

「ほろよい読書 おかわり」(双葉文庫)

お酒にまつわるアンソロジー。「おかわり」とついているのでおわかりかと思い

ますが、第一弾が存在します。そちらも寄稿作家はなかなか豪華なので、機会が

あったら読んでみたいですね(織守きょうやさん、原田ひ香さん、柚木麻子さん

等豪華メンバーです)。

こちらは、青山さん、一穂さん辺りの名前に惹かれて予約したのじゃないかな。

私個人的には、お酒がほとんど飲めない体質なので、どうもお酒の美味しさという

のはよくわからないのですが、飲めたら楽しいだろうな~とはいつも思いますね。

相方がお酒大好きなので、最近はたまに缶チューハイで夜の晩酌に付き合うことも

あります(でも、結局半分も飲めずに心臓がバクバクしちゃうので、残りは飲んで

もらうという^^;)。大学卒業してすぐに入った会社では、同期の仲が良かった

ので、結構飲む機会も多かったのですが、お酒飲めないながらも、みんなで

愚痴を言い合ったりして、ワイワイするのは楽しかったですね。今の職場は誰も

飲める人がいないので、年末の忘年会も単なる食事会なので、飲みの機会というのは

全くなくなってしまいました。まぁ、どうせ飲めないから美味しいもの食べられれば

いいんですけどね。

おっとお酒談義はその辺にして、各作品の感想を。

 

青山美智子『きのこカクテル』

「好き」という言葉を使わずに好きという気持ちを伝えるにはどうするか。不器用

な二人にニヤニヤしちゃいました。タイトルから、きのこを使ったカクテルが

出て来るのかと思ったんですけどね。全然違ってた(笑)。菌床育てるのは、一度

やってみたいと思ってるんですけどね。なんか、扱いが大変そうでね。きのこ

好きなんで、いつかチャンレンジしてみたいですけど。

 

朱野帰子『オイスター・ウォーズ』

なかなかハラハラする展開で、どうなるのか最後までわからなかった。SNS

出会った二人がオイスターバーで牡蠣を食べるって話で、それぞれに心の中にある

思惑を持ってやって来るのだけど。どんどん物語は不穏な雰囲気になっていく

のだけど、結末は意外な展開になって、思ったよりも読後感は悪くなかった。

この二人の関係がこの後どうなるのかすごく気になります。牡蠣好き同士、意外と

上手く行ったりしそう。

 

一穂ミチ『ホンサイホンベー』

父親が亡くなったと知らせを受けた主人公が、フランスから、ベトナム人の継母の

待つ日本に帰って来る話。継母とは良好な関係なのかと思いきや。亡くなった実の

母親の香水瓶を巡る心理攻防は緊迫していて読まされた。ただ、終盤の継母との

一線を超えるシーンは余計だと思いました。一穂さんらしいシーンかもしれない

けど・・・。タイトルはベトナム語で『酔わずに帰れない』という意味だそう。

 

奥田亜希子『きみはアガペ』

付き合っていた彼氏に振られて、一生誰とも付き合わないと言い張る中学生の姪。

しかし、僕の家の希少な植物がきっかけで知り合った、同級生の男子に告白

されて――。アオノリュウゼツラン・・・なんかどっかの植物園で見たことが

あるような。テキーラの材料なんですね。アガペシロップは一時期流行った時に

買って、うちでも使ったことあります(乗せられやすいw)。凛子みたいな年齢

の子は、一度の失恋でこういう気持ちになりやすいかもしれないですね。大人に

なって、またいい恋をしてほしいなぁと思います。主人公も、過去の恋を忘れて、

新しい人と出会えるといいなと思うけど、過去の恋に縛られる人生も、それは

それで幸せなのかな。

 

西條奈加『タイムスリップ』

知らない駅で途中下車して見つけた不思議な赤提灯の店。料理もお酒も美味しくて、

すっかり気に入った葉月は、後日再び友人を連れてその地を訪れたが、なぜか同じ

場所にあるのに、店の名前が変わり、店主も別人としか思えない姿に変わって

いた――。

タイムスリップものかと思いきや。種明かしされると、そういうことだったか、

と拍子抜けでした。でも、たまにこういう形態のお店聞きますよね。利用する方は

ちゃんと確認してから行かないといけませんね。