ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

千早茜「マリエ」(文藝春秋)

千早さん最新作(かな?)。結婚や夫婦について、いろいろ考えさせられる作品

でしたね。

主人公の桐原まりえは、40歳を目前にして夫から離婚を切り出される。夫の

理由は、『恋愛したいから』。好きな人がいるでもなく、恋愛したいという理由に

納得がいかないまりえだったが、ついに折れて離婚することに。一人になった

まりえは夫への未練もなく、縛られないことの自由さを満喫していたが、何か

不安で満たされない気持ちも抱えていた。そんな中、些細なきっかけから結婚

相談所に登録することに。積極的に婚活したいとは思っていなかったが、相談所

の職員から前のめり的にお見合い相手をセッティングされ、なし崩し的にお見合い

することに。そこで出会うお見合い相手は、様々なタイプがいた。まりえは、

アラフォーの自分の婚活上での「現実」と、結婚に対する相手との価値観の違いを

突きつけられることに――。

まりえの元夫の離婚したい理由には、唖然。『恋愛したい』って何?そんな自分勝手

な理由で離婚したくせに、どうでもいい理由をつけてちょこちょこまりえに連絡

してくるところに何度もイライラさせられました。結局、恋愛したいって言う割りに、

本人に恋愛してる相手がいる感じでもなかったし。まりえに隠していただけなの

かな?

まりえの友達の早希が悪びれもせず不倫するところにもゲンナリ。不倫してる理由が

「円満な結婚生活のため」って、何ソレって感じ。不倫する人って、多分それが

悪いことだなんて全く思わないんですよね。私にはちょっと理解不能です。だから

このひとバツイチなんだろうなーと思いましたね。まぁ、まりえもバツイチですけど。

旦那にバレて慰謝料請求されるようなことにならなきゃいいですけどね。

婚活しながら、7つ年下の男との恋愛に翻弄されるまりえ。こういう出会があったら、

そりゃ、浮かれもしますよね。でも、まりえの年だと、やっぱりいろいろ考え

ちゃいますよね。保険をかける意味で婚活を同時にする気持ちは、わからなくは

ないかな、と思いましたね。相手が本気かどうかもわからない段階では特に。

アラフォーの女性の心情がとても赤裸々に綴られていて、リアルだなぁと思いました。

ラストはちょっと食い足りない感じもありましたけど。まりえの選んだ道は、正直

茨の道のような気がしないでもない。今が幸せでも、少し先の未来もそうだとは

思えないんだよなぁ。由井君のキャラクターを考えるとね。まぁ、でも、恋愛は

やっぱり女性を強くするし美しくするから。これはこれで良かったのかな。

きっと、元夫との結婚生活では得られない、新鮮な恋愛が味わえるんじゃないかな。

タイトルは、ヒロインのまりえと、フランス語で【結婚】とか【花嫁】を意味する

マリエ(la mare'e)、二つの意味がかかっているのでしょうね。だからカタカナ表記

にしたんじゃないかな。