ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

井上真偽「ぎんなみ商店街の事件簿 SISTER編」

という訳で、BROTHER編からさほど待たされることなくSISTER編が回って来ました。

ただ、できれば二冊手元にある状態で読みたかったな~というのが正直なところ。

細かい設定とか、確認しながら読みたかった。BROTHER編と同じ三つの事件を

描いているのですが、視点が違うので、いろいろと違う点も多く。この時のこれって

どうだったんだっけ?と首を傾げながら読む羽目になってしまって。あちらで

消化不良だった点がこちらで解決されたかというと・・・うーむ。こちらはこちら

で腑に落ちない点も結構ありました。相互補完されているかどうかも、二冊

読んでもいまいちよくわからなかったという(私がアホなだけですか?^^;)。

キャラクター的には、こちらの焼き鳥屋の三姉妹(佐々美、都久音、桃)の方が

良かったかな?佐々美のキャラクターはいまいち掴みどころがなかったけど・・・。

ていうか、ちょっと、いや大分鬱陶しい性格だった^^;とはいえ、彼女の存在

があるから、こっちの作品の方がちょっとコメディ色が強い印象を受けましたね。

結構深刻な状況でも、のほほんとして何も考えてなさそうな彼女がいると、妙に

場が弛緩するというか。いいのか悪いのかわかりませんが・・・空気読めないタイプ

なのは間違いないと思うけど。そののほほんとした態度に救われるような場面も

ない訳じゃなかったので。ま、そんなだから上司からパワハラ受けて仕事辞め

なきゃならなくなったんだろうけどさ。

ざっくり言うと、三姉妹の性格分けは、天然・普通・賢いって感じなので、

この辺りのキャラ分けはBROTHER編をあまり変わりがなく、もうちょっと個性的

なキャラクターを作っても良かったのではと思わなくもないです。語り手が

どちらも真ん中の普通タイプの子なのは、動かしやすいから仕方ないとは思いますが。

三作の中で、一番わかりやすい真相なのは一作目ですね。これはBROTHER編も

変わらない。三作目は、商店街を舞台にした割に話が大きくなりすぎちゃって、

何が何だかよく分からなかった(これは二作共通)。変に話を広げないで、

あくまで商店街の中の事件で統一した方が面白く読めた気がするなぁ。ラスト、

急ぎ足で無理矢理解決したって感じだったし。なんか、二作読んでもいまいち

すっきりしなかったです。

試み自体は面白いと思いましたが・・・手元に二冊ある状態で比べながら

読んだらもっと比較できて面白かったのかも。登場人物の人物相関図とかも

ほしいなぁ。誰がどこで繋がっていて、とかが途中こんがらがって来ちゃって。

二作目なんか、登場人物の母親同士の因縁とかまで関わって来ちゃったんで。

誰の母親が誰の母親とつながりがあって・・・とか、ちょっと頭の中を整理

しながら読まないといけなかったんで(結局整理しきれないまま読み終えたという

w)。

しかし、いくら焼き鳥屋だからって、子供に鶏肉の部位の名前をつけるって

どうなのよ。DQN過ぎないですか。桃はまだ由来さえ明かさなければいいけどさ。

佐々美、も言われなければ気づかれないかな?しかし、つくねは可哀想だよね・・・。

現に、名前をさんざんいじられてトラウマになってるし。それに、仕事を

辞めてニートになった佐々美に対して、『(早く結婚させて)片付けたい』とか、

実の娘に対して失礼すぎませんか。悪気はないんだろうけど、デリカシーの

かけらもない母親だなぁと呆れました。そういうキャラなんだろうけどさ。

どうも、全体的にどちらの作品も登場人物に好感が持てない人が多かったです。

都久音の友達も、彼女に対して結構辛辣な発言繰り返してたしね。そういう点でも、

いまひとつ乗り切れないまま終わってしまった感じ。

巷では結構評判いいみたいですが、個人的には併せて読んでも、あまり評価は

上がらなかったかな。