ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

霧舎巧/「名探偵はどこにいる」/原書房刊

霧舎巧さんの「名探偵はどこにいる」。

22年前、笹前安奈と甘奈の双子の姉妹は、ある目的を遂げる為に鹿児島沖の終ノ島
へと渡る。それから2年後、その島で発見されたのは、双子の学校の教師の死体だった。
当時、事件を捜査していたのは後動有三警部補だった。しかし、事件はうやむやに処理され、
真相はわからないままだった。そして、22年後、後動を敬愛してやまない今寺は、その遺志
を継いで事件を再び捜査し始めるが――あかずの扉シリーズ番外編第2弾。

簡単に読めるのですが、なかなか複雑な構成になっていて面白かったです。ただ、いろんな
要素が絡み合ってくるので、ちゃんと把握してないと何が何やらって状態になるので、
いちいち整理しながら読まないと意味がわからなかったりする部分も。事の真相は割とありふれた
展開って感じでしたが、ラストの日記部分は良かったです。ただ、中学の時の恋愛を20年以上も
引きずっているというのはあり得るのか?という根本的な部分で疑問は覚えましたが・・・。
あと気になったのはリチャードとエルの登場。別にこの作品にはいらないような気がする
のですが・・・。今寺少年の3つの謎を解くのだったら、別に彼らでなくてもいいと思います。
意味もなく登場人物が増えて、物語がややこしくなるだけって気がしたので。実は前作の内容
ものの見事にすっぱり忘れている状態なので、この二人が前作でどういう役割をしていたのか
というのが思い出せずにいるせいもあるかも。それを言ったら、後動父の失踪もそうなんですが。
前作を軽くでも再読してから読んだ方が楽しめたのかもしれません。

この作品では名前しか出て来ない悟君。ちらっとでも顔を出してくれたらファンとしてはもっと
楽しめたのにな~。それこそいらない要素なのでしょうけど(苦笑)。彼の鋭い推理は父親
ゆずりなのですね~。後動さんも卒業後は父の後を継いで刑事になるのでしょうか。何か
イメージと合わないけど・・・。

ところで、肝心の本編はどうなったのでしょうか。一体何年出てないんだ?
番外編なんかどうでもいいから、もう、本編の続きを書いて欲しいというのが正直な所ですね。