ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

高田崇史/「QED ~ventus~ 御霊将門」/講談社ノベルス刊

高田崇史さんのQEDシリーズ最新刊「QED ~ventus~ 御霊将門」。

春、花見をしようと誘った奈々・沙織の棚旗姉妹の提案をあっさり承知した崇。
しかし、花見のはずが、いつしか日本三大怨霊と恐れられる平将門ゆかりの名所巡り
ツアーへと一転。何故か翌日には茨城県まで足を延ばすことに・・・崇が解き明かす
大怨霊・将門の謎とは――QEDシリーズ第12弾。

このシリーズは、巻を追うごとにミステリ色が薄れて来て、歴史色の方が強くなって
いってますね。本書はもう、まさしく将門についての歴史書といった方が正しいのでは
と思わせるような内容。一応ごく一部ミステリらしき仕掛けはあるものの、はっきり云って
それはつけたしみたいなものです。本書にミステリを期待してる方は読まない方が賢明
でしょう。私はタタルさんの薀蓄が好きだし、寺社巡りも好きなんですけど、さすがに
全編将門ゆかりの名所の薀蓄で固められるとちょっと食傷気味になりました・・・。
やはり、初期の頃のミステリと古典や歴史の謎解きが上手くバランスよく融和されている
作品の方が面白かったかな、と思います。歴史書だけだったら、別に講談社ノベルス
書く必要はありませんからね・・・。それに、前回登場した御名形がタタルさんの
ライバルになると踏んでいた予想が見事に大はずれでしたし。ちらっと回想で出て来て
ますけど、本人登場は全くなし。ラストは意味深に終わるので、次回作はいろいろ事件が
起きて物語が動きそうな感じもしますけど。ちなみに今回、殺人事件は起こりません^^;;

それにしても、タタルさんってどうやってあの膨大な知識を身につけてるんでしょうね。
日本全国でタタルさんの知らない神社なんて存在しないんじゃないだろうか・・・。
今回登場する、将門ゆかりの寺社の半分は東京にあるので、そのうちタタルさんたちが辿った
順番で寺社めぐりをするのもいいかな~なんて思いました。そういえば、私も東京に
住んでいるのに、靖国神社にお参りに行ったことないんですよねぇ。ま、今回出て来た
名所で行ったことあったのって神田明神位なんですけど。街中にある小さい神社や祠にも
ちゃんとした意味があるのですよね。祀っている神様もそれぞれだし。普段はそんなこと
全然気にかけたりしないのですが、このシリーズを読むと、そういう部分も見落としては
いけないなぁと気付かせてくれますね。