ミステリ読書録

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高田崇史/「カンナ 鎌倉の血陣」/講談社ノベルス刊

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高田崇史さんの「カンナ 鎌倉の血陣」。

婚約者の聡美と共に、長谷のお茶会に呼ばれ鎌倉にやってきた甲斐。駅から会場に向かおうと
していた二人の前に、別口で同じお茶会に招かれたという竜之介と貴湖が現れた。お茶会の会場
に着いた二人だったが、お茶会の直前に主催者の加賀美宗朝が何者かに殺害されてしまう。警察
が呼ばれ現場にいた甲斐たちも事情聴取を受けることに。警察から開放された甲斐は、竜之介が
現場で不審な人影を見たと言うので現場を調べに行くが、そこで二人は何者かに襲われる。不審者
からは忍びの気配が――シリーズ第六弾。


カンナシリーズ第6弾。相変わらず、このシリーズは刊行ペースが早いですねぇ。今回の舞台は
鎌倉。QEDシリーズでも鎌倉は取り上げられていましたが、内容を全く覚えていない上、今回の
歴史薀蓄もほとんど頭に入らず読み飛ばしに近かったので、内容が重複しているかどうかは
わかりません^^;;鎌倉自体は大好きな街なので、江ノ電長谷寺が出て来たりするところは
嬉しかったのですが、歴史オンチのせいか、鎌倉幕府の源氏三代の謎と言われてもいまひとつピンと
来ず、そちらの謎解きに関してはさっぱり興味が持てずに終了・・・^^;まぁ、歴史部分は
毎回そうなんですけどね(それでなぜ読んでいるのか、このシリーズ^^;)。

しかも、延々と引っ張ってる諒司と社伝に関しては今回も全く進展を見せず。諒司自体、今回
姿さえ見せないかと思ったくらいなのですが、さすがにラストで出番があってほっとしました。
でも社伝の方は全く触れられず・・・シリーズとしては完全に前回同様繋ぎの一冊って感じ。
相変わらず聡美の祖父の真意も良くわからないですしねぇ。聡美の甲斐への感情も、少しは恋愛
感情が入っているのかと思ったら、そうでもないんですね。これから好きになるだろうという
楽観的な考えで、完全に家の為の結婚と割りきっている様子なので驚きました。今時こういう人
いるのかなぁ。でも、二人の邪魔をしそうな貴湖には複雑な感情を抱えている辺り、なんだか
やっぱりよくわからない女性って感じです。ただ、強かなのは確かなんでしょうけど、基本的には
悪い人ではないのかなって感じがしてきましたが(もっと悪女なのかと・・・)。

正直、大した読みどころはなかったのですが(おい)、一番今回嬉しかったシーンは前作に続き
登場したQEDシリーズのアノ人がゲスト出演したことですかね。といっても、一番出て来て欲しい
例のアノ人は出てきませんでしたが^^;前作のレビューで毒飼いの聡美の祖父と毒草師である
御名形が繋がっていたら面白いと思ったのですが、やっぱり今後登場して来そうな気配があり
ました。聡美の祖父と繋がることはなさそうですが。貴湖と接触しそうな感じかな。出来れば、
貴湖にはタタルさんの方と接触して歴史議論を戦わせて欲しいんですけどね~。絶対、タタルさん
が勝つと思うけどね・・・。

このシリーズ、副題に仕掛けがあると聞いてはいたのですが、実は今まで全然気づいてませんでした。
今回、カバー折り返しのシリーズ紹介の欄を見ていて、初めてその意味がわかりました。
副題の最後の一字をシリーズ一作目からつなげると、九字臨・兵・闘・者・皆・陣まで)になって
るんですね。だから『殺皆』が苦しかったんだ(気づくの遅っ)。ってことは、これからの三作は、
語尾が『列』『在』『前』になるんでしょうね。高田さんらしい仕掛けですね。それで完結なのかな。
しかし、あと三冊で完結できるんだろうか・・・なんか、さっぱり物語が進んでないように感じるけど^^;
取り敢えず、ここまで読んだら最後まで読み通すぞー。