ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

有川浩/「図書館内乱」/メディアワークス刊

有川浩さんの「図書館内乱」。

武蔵野第一図書館の図書特殊部隊の一等図書士・笠原郁。自分の配属を家族にひた隠して
過ごして来たが、ついに郷里の両親が勤め先の図書館を見学に来るという突発事態が発生。
直属の上司である堂上や小牧、同僚の手塚や友人の柴崎みんなに協力を仰ぎ、この危機を
乗り越えられるのか、笠原郁!?大人気、図書館シリーズ第二弾。


はい。前回「図書館戦争」で多くの敵を作った私でしたが。懲りずに続編を読んでみました
(わー石投げないで下さいー^^;)。みなさまからのアドバイスを受け、ブラックべるこ、
学習いたしました。今回はもう「これはエンタメ!」と割り切って読むことに専念。もちろん
ラノベ調の文章には所々ひっかかりましたとも。会話文と図書館抗争部分の乖離の激しさ
に違和感覚えまくりでしたとも。でもそんなところをつついちゃいけないんだと学んだら、
案外楽しく読み終えることができました。会話文はついつい笑っちゃう部分も多かったですし。
ただ、小牧と毬江ちゃんのエピソード、確かにこのベタさは嫌いではないのだけど、ちょっと
展開が唐突すぎる感じはしました。もっと双方の細かい心の動きとかちゃんと書いた上での
ラブストーリーにして欲しかった。毬江ちゃんの聴覚障害のことがあるのだし。特に
小牧サイドの毬江ちゃんへの想いの変化はもうちょっと書き込んで欲しかったですね。
それにしても、この部分を読んで有川さんの書きたい世界は月9というよりは少女マンガの
王道の世界なんじゃないだろうか、と思いました。今時の少女まんがだってここまでベタじゃない
気がするけど。いや、こういうの好きだからもうとことんベタなの追求して欲しいって気持ちは
あるんですけどね。特に今回のラストではついに郁があのことに気付いてしまいましたからねぇ。
どうなっちゃうのでしょう。ドキドキです。

でも今回は一番良かったのは柴崎だなー。このキャラはいい。特にラストでの朝比奈との
やりとりのかっこ良さといったら!こういう、静かに正論ぶちまけて相手をやり込めるって
シチュエーション大好きです(なんだその限定シチュエーション^^;)。手塚との関係も
‘密かな戦線協定’みたいでいいな。手塚もだんだんと‘いいヤツ’になってきましたねぇ。
手塚のぼそっと呟く突っ込みが何気に好きだったり。

実は今回読むのにちょっと苦戦しました。会話文はさくさくいけるんですが、図書検閲とかの
論争部分になるととたんに自分の言語理解能力が低下する。郁が手塚兄の「図書館未来企画」
について説明受けるシーンでの心の呟き「誰か通訳呼んでー。」はそのまま私の呟きでした
・・・。どうもこの人の文章は理解しやすいところとそうでないところの差が激しい気がする。
まぁ、それは私の文章理解力の問題なんでしょうけども・・・。

とにかく郁と堂上がどうなっちゃうのか気になるので、次も近いうちに読みたいと思います
(だから石投げないで下さいー・・・)。