瀬尾まいこさんの「見えない誰かと」。
教師(講師)として赴任した先々で出会った人々や出来事を綴った著者初のエッセイ。
「図書館の神様」の元となるエピソードも披露。
瀬尾さんのエッセイです。国語の教師として実際勤務している瀬尾さん。講師時代も含める
と、相当数の学校で教鞭を取ってきたようです。ここで出て来る学校でのエピソードはどれも
瀬尾さんの作品に実際出て来てもおかしくないようなものばかり。逆に云えば、こういう経験を
しているからこそああいう作品が書けるのだろうなぁと思いました。生徒たちや他の先生、生徒
の保護者など、学校で関わりになるどんな人に対しても真面目に正面から向き合う瀬尾さんの
姿勢がとても素敵です。このエッセイを読んでいると、瀬尾さんご自身はきっと周りの人から
とても可愛がられ、可愛らしいからこそいじめられるキャラなんだろうなーというのがわかる。
ついついちょっかい出したくなってしまう人なんだろうなぁ。私も学生時代にこんな先生と
出会いたかったです。そういえば、私が中学の時の国語の先生も小柄で美人とかではないのだ
けど、可愛らしい雰囲気のある先生だったっけ。でも瀬尾さんのように生徒の中に入って来る
ような先生はいなかったように思う。先生はあくまでも先生だった。地方の少ない生徒数の学校
とはまた違うのかもしれないけど(何せ40人学級で7クラスありましたし)、瀬尾さんはきっと
大きな学校に行っても同じ様に生徒に接するんだろうな。
どのエピソードも素敵なんだけど、特に印象に残ったのは二人の校長先生。生徒の歌に感動して、
卒業式で「もう一度今の歌を歌って下さい」とリクエストする校長先生と、やんちゃな生徒みたい
にいたずらをする楽しい校長先生。校長先生というと生徒とはあまり触れ合う機会がない雲の上
の存在っていう印象が強いのですが、この二人の校長先生はちゃんと生徒たちのことを見ていて
良いなぁと思いました。素敵な校長先生がいる学校はやっぱり良い学校という感じがする。理想論
でしかないかもしれませんが。
あとは彫りの深い素敵な従弟のロバート君や、お母さんの友達の敏子おばちゃんのエピソード
なんかも面白かった。
そして「図書館の神様」に出て来た爽やか少年垣内君のモデルになる中学生の話がまた良い。
あの作品はほぼ実話だったのだなぁ。しかも、垣内君よりも実在の彼の方がずっと素敵だとか。
うーむ、ぜひとも会ってみたいものだ。
瀬尾さんの作品そのもののような、とても温かくて楽しいエピソード満載のエッセイです。
学生時代の大切さを教えてくれるような、瀬尾さんの優しい目線が心地良い。瀬尾さんが
本当に生徒のことや学校のことを大切に思っていることが行間から伝わって来る。
瀬尾ファンならば是非とも一読して欲しい作品です。癒されますよ^^