ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

瀬尾まいこ/「僕らのごはんは明日で待ってる」/幻冬舎刊

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体育祭の競技“米袋ジャンプ”をきっかけに付き合うことになった葉山と上村。大学に
行っても淡々とした関係の二人だが、一つだけ信じられることがあった。それは、互いが
互いを必要としていること。でも人生は、いつも思わぬ方向に進んでいき…。読んだあと、
必ず笑顔になれる、著者の魅力がぎゅっと詰まった優しい恋の物語(紹介文抜粋)。


瀬尾さん最新作。いやー、良かったです。最初短篇集なのかな?と思ったんですが、
一組のカップルの悲喜こもごもを描いた連作短編集でした。高校3年からスタートし、
一作ごとに月日が進んで行きます。途中紆余曲折ありながらも、二人の愛は少しづつ
育まれて行くのですが、最後に思わぬ悲劇が襲います。葉村君も上村さんも、どちらも
とても好感の持てる性格で、読んでてほんとにこの二人っていいカップルだなぁと
思いました。それだけに、3話目の展開にはショックを受けましたし、最終話の展開
には二人の運命の理不尽さが歯がゆくて仕方なかったです。ネタバレになっちゃうので
これ以上は書けないのですが・・・こんなに素敵なカップルに、こんな辛い試練を
与えるなんて、神様って意地悪だって思いました。でも、この二人ならきっとこの先も
どんな試練でも乗り越えられる、と思えるラストで嬉しかったです。小春の予想する
ようにイエスが浮気するとは思えないけど、山あり谷ありの人生でも、二人一緒にいれば
きっと大丈夫、だと思えました。

なんといっても、一作目の米袋ジャンプが印象的でしたね。米袋ジャンプって何だ?って
思ったら、体育祭の競技。確かに、言われてみれば、そういう競技ありますよね。私の
学校にはなかったけど^^;突如米袋ジャンプに任命された葉山君が、ペアに指名された
上村さんと戸惑いながらも一生懸命競技の練習をする姿が微笑ましかったです。そして、
いつもたそがれている葉山君の体育祭当日の勇姿には私も感動してしまいました。たそがれ
キャラの葉山君を好きになる上村さんのセンスがいいですよね。高校に入って根暗キャラに
変貌してしまっても尚好きでい続けるところが。ただ、葉山君が決死の覚悟でお兄さんとの
エピソードを告白しているのに、ちゃんと聞いてあげないのは可哀想だなぁ、と思いました
けど^^;聞く時間がないにしても、もうちょっとフォローした言い方があるように思った
ので・・・^^;

最終話の小春の同室の人々とのエピソードも良かったですね。特に、山崎さんとの最後の
会話は胸にジーンと来たなぁ・・・。

葉山君のたそがれキャラがとっても瀬尾さんらしくて好きでした。久々に直球のあったかい
瀬尾作品が読めて嬉しかった。今までの瀬尾作品の中でも、ベスト3に入れてもいいくらい
良かったかも。

ちなみに、私もスポーツドリンクだったら断然ポカリ派です。風邪引いた時は、ほぼポカリで
生きてると言っても過言じゃないです(笑)。だから、上村さんの主張には激しく同意して
しまったのでした(笑)。