ミステリ読書録

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コロー 光と追憶の変奏曲

東京・上野 国立西洋美術館 < コロー 光と追憶の変奏曲 >

19世紀フランスの画家カミーユ・コローの名作約90点とコローの影響を受けた印象派
画家の作品を併せて展示。


開催は今日で終わってしまいましたが、私は木曜日、フェルメールの後で昼食を挟んで
観てきました。実は、西洋美術館の展覧会はあまり混むイメージがなかった上、コローと
いうと一般的知名度フェルメールのようにはないと思っていたので、大して混まない
だろうとたかを括っていたのです。いやいや、終了間近だったせいか、時間帯のせいもあり、
フェルメールと同じ位の混雑。人が溢れて、というほどではないにせよ、自分の認識の甘さを
痛感しました。コローって結構人気あるのね^^;いや、私は昔から結構好きだったんですが、
あんまりコローの絵が好きって人に出会ったことがなかったので・・・^^;

約90点もの作品が揃っていたので、コローコローコロー!でお腹いっぱいって感じでした。
しかもコローの風景画は似た色彩のものがとても多いので、順番に観てるのに、こっちの
壁側の絵すでに観たような・・・みたいな状態になったり^^;人物画のところだけは
少し異色な感じでしたが。 
 


『ヴィル=ダヴレーのカバスュ邸』 坂道を取り入れた構図が印象的。
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『ヴィル=ダヴレーのあずまや』 作中の人物はコローを含めた彼の家族たち。
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『ティボリ、ヴィラデステ庭園』
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コローの繊細な木とか水の反映の描き方がすごく好きです。コローの風景画はとても空気が
澄んでいるような気がして、観ていて気持ちがいい。色彩はどちらかというと暗めなのに、
清冽でいて瑞々しさを感じます。自然がとても好きな人だったんだろうなぁと思う。


モルトフォンテーヌの想い出』 風景画では一番印象に残りました。
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『傾いだ木』 画家は画面を横断するように描かれる傾いだ木の構図に拘りがあったようです。
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今回は人物画も結構来ていました。なんといっても、目玉はルーヴルにあるコローのモナリザ
と言われる『真珠の女』。この絵の前だけ異様な人だかりで、結局待っていても人が引かないので
一番前で観ることができませんでした^^;それでも、充分素敵さは伝わってきました。
構図はモロに『モナリザ』を意識してますね。物憂げな表情が印象的。とても綺麗な絵でした。



『真珠の女』
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その近くに展示されていた『青い服の婦人』も、服の青がとても鮮やかで、目を引く絵でした。
コローがこういう青を取り入れるのは珍しいことだとか。確かに、緑や水墨画っぽい黒の
イメージはあるけど、鮮やかな青を使った絵って観たことがなかったかも。


『青い服の婦人』
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面白かったのは、コローの合間にちょこちょこルノワールやモネといった超有名画家の絵が
展示されているのに、ほとんどの人が大して立ち止まることなく、あっさり通り過ぎていたこと。
コロー主体の展覧会なので、周辺画家はかすんでしまうということなのか。普段は逆なのに、
面白いなーと思いました。
印象派の中でもどちらかというと地味な存在のコローですが、多くの人に愛されている画家
なんだなぁと実感できました。一生ぶんのコローの絵を観た気分(普段印象派の展覧会では
数点しか来ないことがほとんどなので^^;)。


展覧会二つのはしごはさすがに疲れましたが、どちらも見ごたえのある展覧会だったので
大満足の一日でした。やはり、たまにはこうして芸術に触れるのも良いなぁとしみじみ
思ったのでした。読書の秋もいいけど、芸術の秋もなかなかですね。