ミステリ読書録

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「容疑者Xの献身」

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「容疑者Xの献身」/脚本:福田 靖
            /演出:西谷 弘
            /原作:東野 圭吾
            /キャスト:福山雅治柴咲コウ堤真一松雪泰子北村一輝他。


< あらすじ >
惨殺死体が発見され、新人女性刑事・内海(柴咲コウ)は先輩と事件の捜査に乗り出す。捜査を
進めていくうちに、被害者の元妻の隣人である石神(堤真一)が、ガリレオこと物理学者・湯川
福山雅治)の大学時代の友人であることが判明。内海から事件の相談を受けた湯川は、石神が
事件の裏にいるのではないかと推理するが……(あらすじ抜粋)。


行ってきました。平日ということもあり、500人近く入るスクリーンはほとんどガラガラ。
席も好きな場所を選べました。ちなみに、私は映画を観に行く時は大抵映画館の一番後ろ側を
指定します。特に小さめの映画館なら尚更。前の方の席しか空いてない場合は、友人と離れ離れに
なったとしても後ろ側の席を選びます。真ん中のプレミアシート周辺が空いてても後ろを選びます。
だって、前側だと首が痛くなっちゃうんだもん(そんな理由か^^;)。

原作は単行本発売時に読んだので、細かい部分はいつもの如く忘れている状態で観に行った訳
なのですが(苦笑)、覚えている限りではかなり原作に忠実に作ってあると感じました。
もちろん、原作では湯川先生の女房役は柴咲コウの内海ではなく草薙刑事という大きな違いは
あるのですが、ストーリーの流れやミステリの真相など、大まかな部分はほぼ原作通りだったと
思います。個人的には石神はもっと冴えない太った中年男という印象だったので、堤さんだと
かっこよすぎでイメージに合わないと思っていたのですが、さすがに堤さんは演技が上手く、
くたびれた中年男の役柄も見事に演じ切っていたと思います。ドラマの「やまとなでしこ」や、
映画の「フライ、ダディ、フライ」でも思いましたが、堤さんって、こういう疲れて冴えない
オヤジ役が意外に多いですね。こういう役を見てると、とても京極堂をやった人と同じ人物とは
思えないのですが^^;それを言ったら靖子訳の松雪さんも、この間見た「デトロイト・メタル・
シティ」のあの女社長とのギャップがありすぎでしたが・・・^^;;松雪さんの弁当屋姿の
あまりの似合わなさにちょっと笑ってしまいました。こんなきれいなお弁当屋さんだったら
そりゃ、評判になるよねぇ。

確かに脇役キャラの演技も素晴らしかったのですが、やっぱり何といっても福ちゃんがかっこ
良かったーーー!!これに尽きます。もう、湯川先生は福ちゃん以外に考えられません。
ええ、単なる盲目的福山ファンなだけですが、何か?(開き直った!)
堤さんと並んでも、北村一輝と並んでも、そのスタイルの良さは際立ってました。足長っ!
顔小さっ!!声渋っ!!!柴咲コウとの身長差が意外にあるのにびっくり。柴咲さんはもう少し
背の高い人なのかな、と思っていたのですが、福ちゃんが背が高すぎるのか、二人並ぶと
柴咲さんが画面から消えちゃいそうな位小さく感じました。

ラストもほとんど原作そのままなのでストーリー展開にはあまり文句はないのですが、
正直湯川先生と石神が雪山に登るシーンは必要なかったと思います。その部分だけこの間
読んだ大倉崇裕さんの「聖域」を思い出してしまいました。湯川先生と雪山は似合わない・・・。
あんな意味のないシーンを入れるくらいなら、もっと石神や靖子の人物像に肉薄するような場面を
入れた方がずっといい作品になったような気がするのですが。映画化に当たって派手な映像を
入れたいと思ったらしいですが、完全に蛇足だったと思います。
それに、やっぱり湯川先生の相棒は草薙刑事がいいんですよね・・・。女は不要。ただ、私的に
北村さんはかなりイメージからはずれているのですが・・・(もっとがっしりしていて硬派な
イメージなの)。湯川先生と内海刑事のやりとりも嫌いではないけれど、やっぱり草薙刑事
の方が湯川先生の隣にいるのは似つかわしい感じがするんですよね。

不満も延べましたが、トータルでは十分満足できる作品でした。石神の究極の自己犠牲には
いい悪いはともかく、やっぱりぐっとくるものがありますね。やったことは人として許せない
ことだとしても。彼の純粋な愛にはやはり『献身』という単語がぴったりという気がします。
靖子の最後の行動については、原作を読んだ時はかなり後味の悪さを感じたのですが、彼女は
彼女で、こうする以外になかったのかもしれないと思いました。一生石神への後ろめたさを
感じて生きて行くよりは、人としての正しさを選んだ。それが石神にとっては最悪の結末である
と知っていたのかどうかはわかりませんが・・・。
2時間18分とやや長めですが、全く長さを感じなかったです。原作ファンでも十分楽しめ
る作品でした。面白かったです。

よく考えると、今年は邦画ばっかり観てる気がする。日本映画界に貢献してるなぁ(自画自賛)。