ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

鯨統一郎/「マグレと紅白歌合戦」/小学館文庫刊

鯨統一郎さんの「マグレと紅白歌合戦」。

日本全国で不可解な殺人事件が多発する中、街中から次々と歌謡曲が消えて行く。事件の背後には
謎の集団『ブラックローレライ』の影が。そんな中、大川探偵事務所を訪れた谷田貝美琴から、失踪
した間暮警部を捜して欲しいと依頼される。調査の末、間暮はアメリカにいるらしいと判明するが、
その理由は謎のままだった。しかし、人知れず帰国した間暮は、東京タワーのてっぺんに突き刺さった
死体を見て「これは見立て殺人です」と言い放つ。日本全国を震撼させている殺人事件はすべて
紅白歌合戦』の見立て殺人だった――!?間暮が明かす驚愕の真相とは?マグレシリーズ第三弾。


昨日投稿寸前まで書いた記事をすべて消してしまい、かなり書く意欲が萎えました・・・。
毎度毎度学習しない人間ですみません・・・。しかもよりによってコレだし。でも、極若干名の
バカミス好きの方(T野さんとか!V子さんとか!)もいらっしゃることだし、気を取り直して
書きます。

という訳で、究極のバカミス(アホミス?トホミス??)、マグレシリーズ第三弾です
(どなたかから抗議の声が聞こえてきそうな気もしますが^^;)。今回のテーマは紅白歌合戦
です。紅白。あの、年末の風物詩であり、国民的歌謡番組。もちろん、私も毎年観ます。年々
出場歌手がしょぼくなっても、美川対小林の衣装対決に見ごたえがなくなっても(小林幸子
気合が入りすぎてて、もはや誰も対抗できない状態のような^^;)、トリが氷川きよし
なったって(紅白もなりふり構わなくなったよね)、やっぱり31日は紅白を観ながら年越し
そばを食べるのが習慣になってしまっている。最近はK-1に持ってかれてる感がなきにしもあらず
ですが、視聴率が下がったっていったって、40%以上はある番組なんて他にないですし。
なんだかんだ文句言いながらもつい観てしまうお茶の間必須番組だと思います。

本書のクライマックスではそんな紅白の常連歌手たちの名曲たちが次々と登場します。一定年齢
以上の人間にとっては『懐かしい~』と感じる曲ばかり。その名曲たちを、マグレと谷田貝美琴
が紅白に分かれて熱唱するのです。まぁ、とにかくめちゃくちゃです。アホです。ツッコミを
入れないところを探す方が大変ってくらい、ツッコミどころが満載です。二人の歌合戦の末に
マグレの見立て殺人解明が始まるのですが、これがもう、整合性ゼロのこじつけ推理で、一体
どれだけの人が本を投げるんだってくらい適当な推理になってます^^;まぁ、このシリーズで
整合性を求めること自体がどだい無理な話で。そういうミステリが読みたい方は絶対手に取っては
いけません。そもそも、二人の歌合戦が必要だったかどうかって時点でアヤシイ。はっきり
云って、単に鯨さんが自分の理想の紅白歌合戦を実現させたかったってだけの作品なんじゃ
ないかなぁ、コレ・・・^^;

解説の方も触れてらっしゃいますが、歌詞だけでこれだけページ数を割くってのもすごいです。
完全に原稿の枚数稼ぎです・・・楽したかったのかな、鯨さん^^;歌詞なんて1フレーズで
いいと思うけどね。ってか、歌詞別に必要ないじゃん・・・(謎解きにも何ら関係なし)。
著作権料だけでもえらい額になりそうだけどなぁ。

前作で謎のままだったブラックローレライの正体には仰天でした。世界征服を目指している割に
やることがセコイ集団だなぁと思ってましたが、意外な人物関係が・・・こうなると、この
シリーズ本書で打ち止めなのかなぁと思わなくもないのですが、鯨さんのことだから更なる
トンデモミステリを書いてくれそうな気はします(いや、書いて欲しい)。
心配なのは大川探偵事務所の今後ですが・・・大中小トリオのネーミングがツボだっただけに、
どうなっちゃうのかなぁ。ちなみに、私も本名の苗字なら大中小トリオに入れます(笑)。

今回、笑いのツボは控え目。やっぱりマグレの出番が少ないせいで(何せ失踪してましたから)、
小林君のツッコミが少なかったのが原因かも。

とにかく、広い心でクダラナさを受け止めてくれる人にはお薦めいたします。事件の真相読んで
『なんじゃそりゃー!!』と本を投げたくなっても、責任は持ちませんけどね(逃)。