ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

西澤保彦/「マリオネット・エンジン」/講談社ノベルス刊

西澤保彦さんの「マリオネット・エンジン」。

パートナーを機械で理想のタイプに変換し愛することのできる時代が到来した。その技術に賛否が
渦巻く中、思いも寄らぬ恐怖が開発者を襲う!表題作『マリオネット・エンジン』をはじめ恐怖に
満ちた6作品を収録!ロジックに定評ある西澤保彦のすべてを凝縮したSFホラー短編集誕生!!
(あらすじ抜粋)


諸事情によりあらすじ抜粋ですみません。表題作はとてもあらすじ考えられる作品じゃなかった
んだもん^^;西澤さんのSFホラー短編集。SFはお得意分野ですが、ミステリ要素のない
SFのみの作品集は始めてなのだそう。確かに読んだ覚えはない・・・。奇しくも、昨日に
続いてSF二連チャンになってしまった^^;しかし、西澤さんのSFの良いところは、SF要素を
巧くミステリに融合させて読ませるところだと思うので、ミステリ要素がないとどうも物足り
ない。十兵衛さんが予想した通り、既読の『シュガー・エンドレス』がこの中では一番出来が
良かったと思います(でも読んだばかりなので飛ばしちゃいましたけど^^;)。他はどうも
ぱっとしないというか、基本的なSF設定の説明が不足している為に訳がわからない作品も
いくつかありました。頭悪いからわかりやすく説明してくれないとダメなんだってばー^^;
これはSF好きでもイマイチ楽しめないんじゃないのかなぁと思いました・・・。



以下各作品の短評。

『シュガー・エンドレス』
アンソロジー「忍び寄る闇の奇譚 メフィスト道場①」参照。
砂糖に拘ったフェティシズム・ホラー。これを読むと白砂糖を控えようと思うハズ?

『テイク』
専門用語が多くて物語になかなか入っていけなかったのですが、ラストまで読むとそれなりに
書きたいことはわかりました。この後どうなったんでしょうか。

『家の中』
家の中にこの光景があったら怖いですね・・・しかも、自分にしか見えないとかだったら。
後半は西澤さんお得意のアレが・・・短編でもやっぱり出て来るんだなぁと思いました^^;

『虫とり』
何が書きたいのかよくわからなかった^^;専門用語の説明もないし、読者に不親切だなぁと
思いました。

『青い奈落』
西澤さんらしくない作品。いや、ある部分は西澤さんらしいんだけど(いつものアレ)^^;
詩のような文章。空が堕ちて来る、空に(自分が)堕ちて行く、という逆転のイメージは
結構好みでした。

『マリオネット・エンジン』
これは酷いです。特殊用語が何の説明もなしに次々出て来て、何が書いてあるのか全く理解
出来ませんでした。表題作ですし、一番ページ数も多い代表作の筈なのに、そうとは思えない
つまらなさ。一応最後まで読んだけど、最後まで読んでも何が書いてあったのかわかりませんでした。
作者の独りよがりしか感じない作品でした。



ミステリ要素がないとここまで面白くなくなるのかーとがっかり。即行で読んだことを忘れて
行きそうな作品集でした・・・次にこの手の作品集が出ても多分手に取らないだろうなぁ^^
SFはやっぱり苦手かも^^;