ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

蒼井上鷹/「九杯目には早すぎる」/双葉社刊

驚異の新人、蒼井上鷹さんのデビュー作「九杯目には早すぎる」。

お酒を飲みながら読むには最適のミステリ(といっても、私自身はほとんどお酒は飲めませんが)。
どの作品もかなりブラックですが、非常に上手いし、切り口がにくい。例えば冒頭作の「大松鮨
の奇妙な客」。のっけから、鮨屋で茶碗蒸しに鮨を混ぜてぐちゃぐちゃにして食べる客が出て
来ます。鮨屋は大激怒・・・全く展開が読めません。でもちゃんと作品は終結するんです。
しかも、この作品がその後に出てくる作品とも関係してくる。
最初連作短編集なのかと思って読んでたんですが、一部上のようにリンクしている作品がある
ものの、基本的には単独の短編集と言って差し支えないと思います。SSも入ってますが、
これがまたぴりりと効いていて、作品全体のアクセントになっています。気軽に読める本格
ミステリという感じ。是非次は長編を読んでみたいですね。