ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

2009年上半期ベスト

みなさまこんばんは。
早いもので今年も折り返し地点に来てしまいました。ここで半年間の総括の意味を
込めて上半期ベストをば。
対象は今年の1月1日から今日現在読んだ本すべて。
ちなみに累計冊数は、110冊。去年も三日に記事を書いて110冊だったので、
全く同じペースですね。ちなみに上下巻ものもそれぞれ一冊と数えております。
記事にしてないものも今年は結構ありました。シリーズものの続巻とか。

去年同様、今年もミステリ、ノンミステリに分けて発表。なんか、だんだん
ノンミステリの比重が大きくなってきているような気がするなぁ。ブログ始める前は
ほんとに読む本の98%くらいはミステリだったんですけどね。


では、まずは2009年ノンミステリベスト5


1.加納朋子『少年少女飛行倶楽部』


2.広瀬正『マイナス・ゼロ』


3.山白朝子『死者のための音楽』




5.今野敏『任侠学園』



次点(順不同):有川浩『三匹のおっさん』、万城目学鹿男あをによし』、あさのあつこ
The MANZAI①~④』、皆川博子『蝶』、三浦しをん神去なあなあ日常』、森見登美彦
『恋文の技術』


1.は、めちゃくちゃツボにはまった青春小説で、とにかく読んでいて楽しかった。空を飛びたい
という少年少女たちの熱い気持ちの詰まった加納さんらしい爽やかな一作。

2.は、これはミステリ部門に入れても良いのでは、と思えるくらい終盤の伏線の回収の見事さ
に脱帽でした。本当に名作だと思う。これからも長く読み継がれて欲しい傑作です。

3.は、某作家の変名と言われているのも知らずに装丁の美しさだけで手に取ったら大当たりだった
作品。確かに読んでみたら似てるかも・・・と思ったのですけれど^^;童話のようなソフトな
語り口の裏に隠された暗黒テイストが非常に好みでした。

4.は、意外なところでこのベストセラー。でも、芸人本と大して期待せずに読んだらその完成度の
高さに驚かされました。連作短編の見本のような見事な構成。そして、心にじんわり沁み入る
温かさと優しさの詰まった一作でした。

5.は、人情味溢れる任侠道がかなり私のツボをついたエンタメ作品。ご都合主義的展開も、
このシリーズなら許せてしまう。読後感も最高に痛快で爽快。





次は2009年上半期ミステリベスト10



1.多島斗志之『黒百合』


2.貫井徳郎『乱反射』


3.奥田英朗『最悪』


4.道尾秀介『鬼の跫音』


5.初野晴『1/2の騎士』




7.望月守宮『無貌伝』


8.柄刀一『ペガサスと一角獣薬局』


9.北村薫『鷺と雪』


10.七河迦南『七つの海を照らす星』



悩みました^^;ダントツに良かったというのがそんなになくて、どれも同じくらい面白く
読んだって感じなので・・・。でも、一位はすんなり決まりました。『やられた』感が
一番味わえたのが一位の作品。といっても、一度読んだだけでは全貌を把握できず、
三回くらいざざっと読みなおして、その伏線の細やかさに目を見張ったって感じだったのですが。
とにかく良くできてます。少年少女のひと夏を描いた爽やかな青春小説とも読めるし。でも、
仕掛けはばっちり。これぞミステリ!という醍醐味が味わえた作品。

2位3位は読んでる間の印象がとても似ていて、すごく嫌な気分になるのだけど、読む手が
止められない、ノンストップミステリ。どちらも甲乙つけがたいくらいのめり込んで読んだ
のですが、作品の構成的に好みだった貫井さんに軍配。ラストはちょっと不満でしたが。
奥田さんはさすがに読ませる力がすごいですね。ミステリ編に入れるか悩んだのですが、
このミスとかに入ってたと思うのでこちらにランクインさせました。

4位の道尾さんは『龍神の雨』も良かったのですが、ミステリとしてはちょっと驚きが
少なめだったので、作風的に好みだったこちらを選びました。

5位の初野さんも『漆黒の王子』『水の時計』供に面白かったのですが、やはり一番始めに
読んだこの作品のインパクトが大きく心に残りました。この作家は今後も要注目。

6位はようやく出たシリーズ最新刊。この図書館派代表の私が(^^;)下巻発売を待って
上下巻同時に買って、即行読んだという珍しい作品。なんだかんだ言いつつ、読んじゃうんだよね、
この人の作品。やっぱり、ラスト一行の小佐内さんの一言に全部持ってかれた感じでした。黒っ。

7位は久々ヒットのメフィスト賞。荒唐無稽な設定を巧くミステリに盛り込み、主役の探偵と
助手、二人の成長物語としても読ませてくれる快作でした。

8位は幻想的な作風の中にしっかり本格ミステリを盛り込んで、なかなかに読みごたえのある
短編集でした。柄刀さんは読みにくい文章という印象のある作家なのだけど、意外にすらすら
読めました。

9位はベッキーさんシリーズ完結編。ラストは切なくやるせない結末で、胸が締め付けられる
ような気持ちになりましたが、昭和初期をリアルに描いたこのシリーズらしい着地点だったの
ではないかと思いました。

10位は創元らしい連作短編集で、新人らしい瑕疵はあるけれど、今後が楽しみになるなかなかの
良作。作中に出てくる回文もなかなか楽しめます(ちょっと唐突感はあったけど^^;)。




こんな感じになりました。読まれた作品がありましたでしょうか。多分、私の評価は
人とかなりズレがあるので、変なランキングに思われるかもしれません^^;



ちなみに、ワーストの黒べるこ賞は古野まほろ『探偵小説のためのエチュード「水剋火」』
海堂尊イノセント・ゲリラの祝祭です。どちらも読んでいてふつふつと怒りが
・・・。これが面白いと思える人もいるんだから、本の好みって人それぞれだなぁと思うよ・・・。


下半期もたくさんいい本に出会えますように。
読んで下さった方、ありがとうございました。