ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

藤岡真「七つ星の首斬人」/東京創元社刊

イメージ 1

藤岡真さんの「七つ星の首斬人」。

西大久保工科大学(NIT)が誇る宇宙物理学の泰斗・海渡欄太郎には“名探偵”というもう一つの
貌がある。大学院生を悩ます謎のストーカー事件を解決したのも束の間、今度は警察から、連続殺人
事件の捜査協力を要請された。赤羽では水の中、青戸では地面の上で見つかった首無し死体……
真言密教の五色と五大要素に絡んだ殺人を繰り返す「七つ星の首斬人」。果たしてその正体は? 
そして目黒に建設された怪建築での実験に参加する海渡を待ち受けていた「第三の事件」とは──
(あらすじ抜粋)。


なんだか頭が混乱中なのであらすじ抜粋です。すみません^^;久しぶりに藤岡さんの新刊が
出た、ということで、読むのを楽しみにしていましたが、思うように読書の時間が取れない上、
なんだかちょっと読みにくさがあって、思ったより時間がかかってしまいました。途中までは
非常に面白く読んでいたのですが、中盤以降、登場人物が増えて事件が複雑になって行くにつれて
だんだん頭が混乱して訳がわからなくなってしまい、その状態で真相を読んだので、謎解きの
カタルシスを味わい切れずに終わってしまいました。多分良く出来てはいるとは思いますが、
もう少しすっきりとわかりやすく読ませて欲しかったです。もちろん、私の読みとり不足が
いけないとは思うのですが・・・。ただ、密室の謎には拍子抜けでしたし、首無殺人の殺害
方法に関してはまさかソレじゃないよなぁ・・・と思っていたことそのまんまだったので、
もうちょっと意外性が欲しかったですね。真犯人自体は全く予想していない人物だったので、
そちらは驚かされましたが。
冒頭のストーカー事件に出て来た被害者がその後の物語の大きなキーマンになっている辺りは
さすがに巧いなぁと思いました。冒頭部分だけ全体の中で浮いてる感じがしていたので、途中で
これも伏線の一つだったとわかって感心しました。ナナ子なんてその話限りのキャラだと思って
いたので^^;そして、その事件自体の真相も、意外な事実が隠されていて驚きました。ただ、
そういう細かい部分まで入れていたから余計に作品全体がごちゃごちゃした印象になってしまった
感じがなきにしもあらず・・・。もうちょっと人間関係を整理して、すっきり読ませて欲しかった
です。人物関係とか事件背景とかを把握するのにいっぱいいっぱいになってしまって、推理しよう
とか真犯人を当てようって気持ちは早々に萎えました・・・。





以下、ネタバレあります。未読の方はご注意を。















伊佐凪の人物像はなんだかブレがある感じがして、違和感ばかりを覚えてしまいました。
テレビに出ているイケメン准教授なのに、一人の女子学生に執着して、相手にされなかった
からといって相手に殺意を覚えるっていうのはどうも動機の面で納得がいきかねます。嫌がらせ
くらいならわかるけど・・・地位も名誉も人気もある人物が、そんなことくらいで殺人に手を
染めようなどと考えるものでしょうか。それに、そんな人気者が変装してホステスにいれあげる
っていうのも首をかしげてしまったし。まぁ、裏の顔は嫉妬深くてせこいだけの男だった、って
ことなんでしょうけど・・・。

真犯人を推理する為の伏線は、後から読み返してみると結構最初の方にも出て来てはいるんです
よね。でも、完全にスルーしてましたけど・・・親知らずのとことか。大伴の詰め物の瞬間接着剤
の方にばかり気がいってましたし(応急処置としてコレをやる人がいますが、絶対ダメですよ)。
多分一度しか出て来ない下の名前なんか覚えてなかったしねぇ・・・。
















大伴が書いた『五色金神殺人事件』を、次々登場してくるファンたちが決まって読んでないのが
笑えました(笑)。それでも必ずこの作品を読んだか聞いてしまう大伴が哀れ。いつか誰か一人でも、
読んでる人に出会えることを祈ります(笑)。
あとはやっぱりアマランス(葉鶏頭と○○○○)のダブルミーニングが最高ですね。ちょこちょこ
笑える要素があって、その辺は藤岡さんらしさがあって良かったと思います。
ただ、謎解きの面白さとかカタルシスという意味では、期待していた分、ちょっと残念な印象を
受ける作品だったかな、という感じでした。