ミステリ読書録

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似鳥鶏/「さよならの次にくる < 新学期編 >」/創元推理文庫刊

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似鳥鶏さんの「さよならの次にくる < 新学期編 >」。

名探偵の伊神さんは卒業、葉山君は進級、そして迎えた新学期。曲がり角が衝突したことが
きっかけで、可愛い一年女子の佐藤さんと知り合った。入学以来、怪しい男に後をつけられている
という佐藤さんのために、葉山君はストーカー撃退に奔走することになる。苦労性の高校生・
葉山君の、山あり谷ありの学園探偵ライフ。爽快なフィナーレまで一気呵成に突き進む学園
ミステリ、後編(あらすじ抜粋)。


気がついたらベッドの上で寝ていました・・・いかん、いかん。時間がないのであらすじ抜粋で
失礼します。眠い・・・。
前作に引き続いての後編です。意味深な伏線がいくつか残されたままだったので、どうなるのかと
思ってましたが、ちゃんと前作を受けての内容になっていて、前後編にした意味がわかるような
内容になっておりました。ただ、前作は図書館でたまたま見つけて読んだ為、手元にすでになく、
合間合間に挟まれていた断章がどういう風に繋がっているのか、あんまり思いだせず確認もできずに
いるというのが正直なところなのですが・・・。前作で出て来たある人物が思わぬ形で再登場したの
には驚かされました(さすがにそこは覚えている)。これに関しては葉山君がただただ可哀そうというか・・・
いや、一番被害を被っているのは違う人物ではあるのですが、よりショックが大きいのは
葉山君の方って気がしますね^^;まさか○○の人が○○○○○になっているなんてねぇ・・・。
前作で探偵役の伊神さんが卒業しちゃって、しかもラストではああいう形で騒動を起こして去って
行っただけに、一体どんな形で登場させるのかなーと思っていたのですが・・・なんてことはない、
ごくごく普通~に、葉山君からの電話で呼び出されてはその都度現場に駆け付けるという形でした
(苦笑)。君はほんとにちゃんと大学行っているんかい!とツッコミを入れたくなりました(笑)。
葉山君の周りで事件のにおいがすると知っては取るのも取りあえず駆け付ける伊神さんがおかしい。
この人、こんなキャラだっけ?とも思ったのですが^^;
今回初登場の希ちゃん、なかなか良いキャラです。終盤は彼女を巡っての意外な展開の連続に、
大いに驚かされました。彼女の意味新な行動にはこんな意味があったのかー!と目からウロコの
思いでした。ある人物に対する彼女の感情が最後までわからずにいたので、ラストまで読んで
やっと彼女の気持ちが見えてきて、本当の人物像が見えてきた感じがしました。葉山君が唯一の
美術部新入部員として彼女を歓迎し、手放すまいとあたふたするところが楽しかった。個人的には
柳瀬さんと希ちゃんの、葉山君を巡る女の戦いがもっと見られると思っていたので、そのあたりは
ちょっと肩すかしではあったのですが。柳瀬さんも傑物だけど、希ちゃんも本気出したら結構いい
対抗馬になりそうな感じがします。次作では、そういう展開も出てきたりするかなぁ。いや、二人の
関係を考えるとそれは無理なのか・・・いや、でもちょこちょこ顔出しそうな気はするし・・・って、
読んでない人にはよくわからない話ですみません^^;

今回も葉山君の一人ツッコミに笑わせられつつ、ミステリとしてもきっちり読ませてくれる展開
だったので楽しめました。有栖川さんの学生アリスシリーズを彷彿とさせるシリーズだと思って
いたのですが、このシリーズに関しては、私のツボは完全に葉山君です。伊神さんはどうも
よく掴めないところがあって、苦手かも。学生アリスシリーズだと絶対江神さんなんだけどなぁ
(いや、アリスも大好きなんですけども)。葉山君は、なんか、柳瀬さんじゃないけど、母性本能を
くすぐられるタイプですよねぇ。ちょっと自虐っぽいところも、頑張れー。と応援したくなるっていうか。
いつも伊神さんを頼りにするヘタレなところがありつつ、今回も最後はちゃんと鋭いところを発揮して
見せ場もありましたしね。窮地に陥った時、守りたい人を守れる強さがないと嘆く彼がなんだか
愛おしくなりました。

前後編併せて楽しめる内容でした。コミカルで軽めの作風ですが、ちゃんとミステリとしても
伏線が張ってあって読ませてくれるところがいいですね。キャラも立っているし。
やっぱりこのシリーズ、古典部よりも好きだなー、私。

あ、あとがきまで傑作でした。何が書きたいのか最後にはよくわからなくなっちゃってました
けど(笑)。フジツボって富士壺って漢字をあてるんですねー。勉強になったわ。

ちなみに、今回の表紙の女の子は間違いなく希ちゃんですよね^^