ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

高田崇史/「カンナ 天満の葬列」/講談社ノベルス刊

イメージ 1

高田崇史さんの「カンナ 天満の葬列」

取材のため太宰府を訪れた竜之介と時を同じくして湯島天神を参拝した貴湖(たかこ)。二人は
菅原道真公がなぜ大怨霊と恐れられるようになったか疑問に思う。そんな折、出賀茂(いずかも)
神社社伝を盗もうとした賊に丹波が襲われ、甲斐もまた何者かにつけ狙われる。黒幕を調べるうちに
社伝と道真に深い繋がりがあると分かり……!?シリーズ第七弾(あらすじ抜粋)。


カンナシリーズ第七弾です。しかし、ペース早いですね、ほんと。そして、相変わらず物語が
進んでいるように感じなかった^^;ほんとに、あと二作で収拾つけられるんですかねぇ。
今回、歴史部分は、菅原道真怨霊説に意義あり、の回。なんか、終盤で無理矢理結論をつけた
感じがなきにしもあらず、だったような・・・てか、いつもそうですけど(苦笑)。説明されると、
なるほど、と思わなくもないんですけどね。確かに、流刑になったくらいで怨霊化するってのは
なんだか腑に落ちないところがあるし。今まで疑問に思ったこともなかったですけど^^;
そういう、『当たり前に思われていた歴史的事実』の齟齬を見つけだして待ったをかけるところは、
相変わらず目の付け所がいいな、と思うんですけどね。これだけ長いこと高田作品と付き合って
くると、どれ読んでもマンネリな印象を受けてしまうのはもう仕方ないことなんでしょうかねぇ。
でも好きだから結局追いかけちゃうんですけども^^;

今回も社伝は諒司に持ち去られたまま。毎度、意味深に謎が提示される割に、ひとつも解決されて
いないような気が・・・。人間関係もだんだん複雑になってきたし、誰が敵で誰が味方かも
混沌としてきて、何が何やら。甲斐と竜之介の友情関係さえ危ぶまれるような記述が出て来る始末。
そして、今回一番ビックリしたのは、やっぱり一番最後に出て来た冴子の正体でしょうね・・・。
この人物だけは、純粋で無垢な存在だと思っていたのになぁ・・・本人が悪いんじゃないんで
しょうけど^^;

そして、毒に侵されたほうろくを助けた怪しげな男って、やっぱりあの人でしょうか・・・?
つ、ついに登場かーー!?とテンション上がりました。でも、なんだか雰囲気が違うので、そうだと
言い切れないような気もするんですが、毒草関係に詳しいってことは・・・。でも、神凪さんって
誰だっけ??(全く覚えてナイ^^;)


副題の最後の一字、九字の『列』まで来たので、あと『在』『前』だけですね。今回は『葬列』
だからあまり苦しくなかったですね(笑)。あと二作はどんな副題になるんでしょうか。