「悪人」
<あらすじ>
保険外交員の女性の遺体が発見される。事件当初、捜査線上に浮かび上がったのは地元の裕福な
大学生だったが、当人の供述と新たな目撃者の証言から、やがて容疑の焦点は土木作業員・清水祐一
(妻夫木聡)へと絞られる。しかし警察の目を逃れ、彼は別の女性・馬込光代(深津絵里)を連れ、
逃避行に及ぶ。吉田修一の同名小説を映画化した、殺人犯の青年と共に逃げる女の切ないラブ
ストーリー(あらすじ抜粋)。
保険外交員の女性の遺体が発見される。事件当初、捜査線上に浮かび上がったのは地元の裕福な
大学生だったが、当人の供述と新たな目撃者の証言から、やがて容疑の焦点は土木作業員・清水祐一
(妻夫木聡)へと絞られる。しかし警察の目を逃れ、彼は別の女性・馬込光代(深津絵里)を連れ、
逃避行に及ぶ。吉田修一の同名小説を映画化した、殺人犯の青年と共に逃げる女の切ないラブ
ストーリー(あらすじ抜粋)。
先日のモントリオール映画祭で主演の深津絵里さんが主演女優賞(だっけ?)を獲った話題作。
もともと原作を読んでいたし、主演の二人が好きな俳優だったので(原作のイメージではなかった
のですが)、漠然と気になってはいたのですが、原作のラストがあまり好きではなかったので、
そこまで積極的に観ようと思っていた訳ではありませんでした。でも、賞を獲ったことでやたらに
話題になっているし、深津さんの体当たりの演技も気になるので、やっぱり行って来ちゃいました。
もともと原作を読んでいたし、主演の二人が好きな俳優だったので(原作のイメージではなかった
のですが)、漠然と気になってはいたのですが、原作のラストがあまり好きではなかったので、
そこまで積極的に観ようと思っていた訳ではありませんでした。でも、賞を獲ったことでやたらに
話題になっているし、深津さんの体当たりの演技も気になるので、やっぱり行って来ちゃいました。
率直な感想としては、さすがに、原作者が脚本を自ら手がけただけはある、という感じ。あの
長い原作で伝えたかった部分だけを見事にコンパクトに纏め上げていると思います。孤独で鬱屈
した平凡な毎日から脱却しようと足掻く祐一と光代の暗い閉塞感みたいなものから始まって、二人
が劇的に出会い、恋に落ち、逃亡する過程が胸苦しいまでの緊迫感を持って描かれています。
そして、原作でも一番心に重くのしかかってきた『誰が本当の悪人なのか?』という問いかけが
映画でも胸に迫って来ました。誰かにとっての悪人が、別の誰かにとっては最愛の人であるという
事実。祐一と光代の間に芽生えた愛情が純粋であればある程、祐一の犯した罪の重さに胸が苦しく
なりました。主役の二人の演技は本当に素晴らしかったと思います。そして、同じくらい素晴らし
かったのは、被害者の父親役の柄本明さんと、祐一の祖母役の樹木希林さん。原作でもこの二人の
シーンは非常に印象に残ったと同時に不満を覚えたシーンでもあったのだけれど、映画でもほぼ
原作通りの展開で、やるせなくてやりきれなくて、胸が締め付けられる気持ちがしました。カメラ
ワークも音楽も素晴らしくて、終始暗くて重くて、救いのないストーリーだけれど、見応えのある
作品だと思います。原作とはまた違った良さがありました。
何より、原作で一番不満があったラストが変えられていたところが良かった。原作のラストがどういう
シチュエーションだったのか今ひとつ覚えていないのだけれど、確か光代のインタビューみたいな
形で終わっていて、その光代の言葉が私にはとても受け入れ難く許せなかったのです。光代は結局
祐一のことを何も理解していなかったのではないかと思えてしまって。裏の真意を汲みとるべき
部分だったのかもしれませんが、光代の言葉だけを読むとそうとは受け取れなくて、なんだか
悶々としてしまったのでした。映画では、そこがもっとシンプルに、光代のあるつぶやきで
終わっていて、深津さんの表情で光代の心理を表しているように思えるところが良かったです。
映画の光代は、多分直前の祐一の行動の意味をわかっていたのだろうと思えました。そして、
清らかで美しいエンディングの映像が素晴らしい。深津さん演じる光代の美しい表情に息を飲み
ました。
すべてを忘れて、ただ二人で見入る景色の美しさ。そこには、ただ、お互いを想い合う純粋な
想いしかなかったのではないでしょうか。それが次の瞬間に消えてしまう儚いものだとしても、
あの瞬間の二人は確かに誰よりも幸せに見えた。だからこそ、悲しいラストだと、思いました。
ラストは原作よりも映画の方がずっと好きですね。余韻の残るいい作品でした。
長い原作で伝えたかった部分だけを見事にコンパクトに纏め上げていると思います。孤独で鬱屈
した平凡な毎日から脱却しようと足掻く祐一と光代の暗い閉塞感みたいなものから始まって、二人
が劇的に出会い、恋に落ち、逃亡する過程が胸苦しいまでの緊迫感を持って描かれています。
そして、原作でも一番心に重くのしかかってきた『誰が本当の悪人なのか?』という問いかけが
映画でも胸に迫って来ました。誰かにとっての悪人が、別の誰かにとっては最愛の人であるという
事実。祐一と光代の間に芽生えた愛情が純粋であればある程、祐一の犯した罪の重さに胸が苦しく
なりました。主役の二人の演技は本当に素晴らしかったと思います。そして、同じくらい素晴らし
かったのは、被害者の父親役の柄本明さんと、祐一の祖母役の樹木希林さん。原作でもこの二人の
シーンは非常に印象に残ったと同時に不満を覚えたシーンでもあったのだけれど、映画でもほぼ
原作通りの展開で、やるせなくてやりきれなくて、胸が締め付けられる気持ちがしました。カメラ
ワークも音楽も素晴らしくて、終始暗くて重くて、救いのないストーリーだけれど、見応えのある
作品だと思います。原作とはまた違った良さがありました。
何より、原作で一番不満があったラストが変えられていたところが良かった。原作のラストがどういう
シチュエーションだったのか今ひとつ覚えていないのだけれど、確か光代のインタビューみたいな
形で終わっていて、その光代の言葉が私にはとても受け入れ難く許せなかったのです。光代は結局
祐一のことを何も理解していなかったのではないかと思えてしまって。裏の真意を汲みとるべき
部分だったのかもしれませんが、光代の言葉だけを読むとそうとは受け取れなくて、なんだか
悶々としてしまったのでした。映画では、そこがもっとシンプルに、光代のあるつぶやきで
終わっていて、深津さんの表情で光代の心理を表しているように思えるところが良かったです。
映画の光代は、多分直前の祐一の行動の意味をわかっていたのだろうと思えました。そして、
清らかで美しいエンディングの映像が素晴らしい。深津さん演じる光代の美しい表情に息を飲み
ました。
すべてを忘れて、ただ二人で見入る景色の美しさ。そこには、ただ、お互いを想い合う純粋な
想いしかなかったのではないでしょうか。それが次の瞬間に消えてしまう儚いものだとしても、
あの瞬間の二人は確かに誰よりも幸せに見えた。だからこそ、悲しいラストだと、思いました。
ラストは原作よりも映画の方がずっと好きですね。余韻の残るいい作品でした。
それにしても、ショックだったのは、増尾役が大好きな岡田将生君だったこと。全然知らなかった
ので、映画を観て愕然としました。ああ、私の飛鳥ちゃんがぁぁぁ・・・(←違)。
原作でも最高にムカつく男でしたが、映画でも最悪な男でした・・・。私は、やっぱりコイツが一番
嫌いだった。真っ暗な山の中に女性を車から蹴り落として捨てて行くところも最低だし、亡くなった
女性やその父親を冒涜するような暴言の数々には虫酸が走りました。ほんとに、父親には一矢報いて
欲しかった・・・。父親が彼に吐き捨てて言葉が胸に残りました。彼にはきっと、それ相応の報いが
あると信じたい。そんな風に他人を馬鹿にして生きて行くのならば。ところで、増尾の友人の中に
一人だけ良心のある人物がいましたが、原作でそんな人出て来てたっけ?私が忘れてるだけ??
ので、映画を観て愕然としました。ああ、私の飛鳥ちゃんがぁぁぁ・・・(←違)。
原作でも最高にムカつく男でしたが、映画でも最悪な男でした・・・。私は、やっぱりコイツが一番
嫌いだった。真っ暗な山の中に女性を車から蹴り落として捨てて行くところも最低だし、亡くなった
女性やその父親を冒涜するような暴言の数々には虫酸が走りました。ほんとに、父親には一矢報いて
欲しかった・・・。父親が彼に吐き捨てて言葉が胸に残りました。彼にはきっと、それ相応の報いが
あると信じたい。そんな風に他人を馬鹿にして生きて行くのならば。ところで、増尾の友人の中に
一人だけ良心のある人物がいましたが、原作でそんな人出て来てたっけ?私が忘れてるだけ??
重いけれども、心に訴えかけるものがある映画だと思います。あからさまな濡れ場まで演じている
主演の二人の体当たりの演技がほんとに素晴らしかった。妻夫木君は、いつものあの爽やかオーラ
を完全に消し去り、別人のようでした。ナイーブで孤独な主人公の祐一を見事に演じきっていたの
ではないでしょうか。彼にも何らかの賞を与えてあげて欲しかったなぁ。もちろん、深津さんの
演技の素晴らしさは言うまでもなく。2時間19分とちょっと長めですが、ぐいぐいと引っ張られる
ストーリー展開は原作そのままで、全く長さを感じることなくエンディングを迎えました。
原作ファンでもそうでない方にも観て何かを感じて欲しい映画だと思います。
主演の二人の体当たりの演技がほんとに素晴らしかった。妻夫木君は、いつものあの爽やかオーラ
を完全に消し去り、別人のようでした。ナイーブで孤独な主人公の祐一を見事に演じきっていたの
ではないでしょうか。彼にも何らかの賞を与えてあげて欲しかったなぁ。もちろん、深津さんの
演技の素晴らしさは言うまでもなく。2時間19分とちょっと長めですが、ぐいぐいと引っ張られる
ストーリー展開は原作そのままで、全く長さを感じることなくエンディングを迎えました。
原作ファンでもそうでない方にも観て何かを感じて欲しい映画だと思います。
来週も映画を一本観る予定。あのマンガの映画化作品です(わかる人だけわかってちょーだい)。
この作品とのギャップ激しすぎ^^;でも楽しみです♪
この作品とのギャップ激しすぎ^^;でも楽しみです♪