ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

「悪の教典」

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【監督・脚本】 三池崇史
【原作】  貴志祐介
【キャスト】 伊藤英明  二階堂ふみ 染谷将太 林 遣都 浅香航大 水野絵梨奈 山田孝之
        平 岳大/吹越 満 他

<あらすじ>
蓮実聖司は、生徒から“ハスミン”という愛称で呼ばれ、絶大な人気を誇る高校教師。学校やPTAの
評価も高く、いわば「教師の鑑」とも呼べる存在だったが、それはすべて仮面に過ぎなかった。
彼は他人への共感能力をまったく持ち合わせていない、生まれながらのサイコパス(反社会性人格
障害)だったのだ。蓮実は自らの目的のためには、それが最善の策であれば、たとえ殺人でも
厭わない。学校が抱える様々なトラブルや、自分の目的の妨げになる障害を取り除くために、
いとも簡単に人を殺していく。そして、いつしか周囲の人間を自由に操り、学校中を支配しつつ
あった。だが、すべてが順調に進んでいた矢先、小さなほころびから自らの失敗が露呈してしまう。
それを隠滅するために考えた蓮実の解決策。それは、クラスの生徒全員を惨殺することだった…
(あらすじ抜粋)。


ものすごく久しぶりの映画記事。映画を映画館で観ること自体がかなり久しぶりだったのも
あるのですが、最近は本の記事を書くだけで精一杯で、それ以外の記事を書く余裕がなかなか
ないのが現状。美術館記事もふたつくらい書いてないしなぁ(上野のメトロポリタンも観に
行ったのだけれど)。
KORさんからのご要望もあったし、一緒に観に行った相方からも書いて欲しいと言われたので、
一応書いておくことにします。

実は、私自身はそんなに観に行くつもりもなかったのだけど(原作読んでるから内容の予想も
つくし)、原作好きの相方がどうしても観たいというので、観に行って来ました。

原作は出版して割合すぐに読んでいたので、大まかな内容は覚えているものの、細かい部分は
ほとんど忘れちゃってたんですよね、正直。だから、どこらへんが原作と違うか照らし合わせる
ってのがほとんど出来なかった分、素直に映画を楽しめたかな、という感じでした。これが
読んだばっかりで鮮明に内容覚えていたら、違和感覚えたところがいっぱいあったかも。
相方は私より遥かに記憶力が良いようで、あそこもあそこも原作と違ってたーとかいろいろ言って
いたので(^^;)。

でも、ストーリーの大まかな流れはだいたい原作と一緒だったのではないかな?いろいろ
前後してる部分脚色してる部分はあったようですが。前半はハスミンの良い教師っぷりを強調
しながら、反面影では邪魔者を躊躇せずに排除する冷徹な部分を垣間見せ、後半は例の学園祭での
凶行がモリタートの音楽に乗せて繰り返される。で、ラストのハスミンの末路もほぼ原作通り。
ただ、最後の最後、原作にはなかった設定が挟まれ、原作のラストとは違ったオチになって
います。この辺りは賛否両論あるんじゃないでしょうか。もしかして、続編があるのでは?
と思わせるラストにする為にこのオチにされたとは思うのですが。
・・・うーん・・・私はこういうのは、ちょっとハスミンぽくないかなぁと違和感を覚えたの
ですけどね。
『to be continued』のテロップが出てましたけど、貴志さんが続編書くとは思えないし、
映画でだけ続編作る訳にもいかないでしょうし、単なるブラフだったんですかねぇ。
カラスのムニンが、原作よりは少し重視された最後になってて、そこは良かったと思いました。

個人的に、伊藤英明のハスミンは『アリ』だと思いました。普段の爽やかっぷりとは一転、
完全に狂気のサイコキラー化してたように思います。海猿好きの人は、あんまり観に
行かない方が良いのかも・・・(私は全く観ていないので、そっちの姿は良く知らないけど)。
後半の殺戮シーンは、予想はしていたのでそれほど怖いとか思わなかったです^^;ただ、
前半の方に出て来た、圭介の拷問シーンはちょっと観てるのがキツかったですね・・・。ひー。
AKBの女の子たちが観た後泣いて騒いでたみたいですけど、泣くほどかなぁ。ま、殺戮
シーン満載のミステリばっかり読んでる私とはそもそもの免疫が違うとは思うんですけども。
大島(優子)さんの『この映画嫌いです』発言がいろいろと問題にもなってるみたいですけど、
映画関係者サイドとしては、逆にいい宣伝になったとほくそ笑んでいるのでは?

ま、原作もそうでしたけど、映画も賛否両論分かれる作品なのは間違いないでしょうね。
原作ファンでも評価は分かれるんじゃないかなー。省略した部分も結構たくさんあるみたいだし。
原作読んでないと、ハスミンの外国時代や両親の死の辺りはかなり解りづらいのではないかな。
あれだけの大作をニ時間にまとめるんだから、仕方ないところでしょうけど。

俳優で印象に残ったのは、なんといっても吹越満。根暗な教師っぷりがかなりキてました^^;
あと、山田孝之のパンツのシーンは、誰が観ても苦笑するんじゃないでしょうか・・・。あの役で、
よく受ける気になったよなぁ・・・。どこに行きたいんだろ、山田孝之^^;

個人的には結構楽しめました。まぁ、えげつない内容なのは間違いないですけど^^;
ただ、エンディングで流れるエグザイルの新ユニット曲が、妙に明るくて作品の雰囲気を
ぶち壊しにしていたのが気になりました。
これだったら、エンディングもモリタート』だった方が、余韻が残って良かったと思うんです
けど・・・。
歌詞も全く内容に即していないらしい(映画レビューで指摘していた方がいた)。
私は、映画はエンドロールまで全部観る派なので、そこはかなりマイナスポイントでした。