ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

西尾維新/「猫物語 黒」/講談社BOX刊

イメージ 1

西尾維新さんの「猫物語 黒」。

完全無欠の委員長・羽川翼阿良々木暦にとって命の恩人である彼女との思い出がつまった
高校三年生のゴールデンウィークは、苦く渋く、けれどもどこか甘酸っぱく、一生忘れられない
九日間だった。その思い出を今、思い出してみる。彼女が『猫』に魅入られた、あの悪夢の
ような、黄金色に光り輝く九日間を――。


偽物語』をすっ飛ばして読んでしまいましたが、化物語の直前の出来事なので特に問題は
なかったです。『化物語』の中で意味深に何度も触れられていたゴールデンウィーク中の
出来事の全貌がやっと明かされました。あるきっかけから化猫に憑かれてしまった最強女子高生
羽川翼ちゃんと、彼女を助けようと奔走する阿良々木暦の物語。
でも、その事件が語られる前の暦と妹の月火の会話のシーンが長い、長い。しかもその話題が
パン○だったりするものだから、脱力しまくることこの上もなく。どう考えても作品に必要性が
あるとも思えないこの会話部分で全体の1/4のページ数を割いていて、きっと誰もが『前フリ
なげーよ』とツッコミたくなることであろう。が、しかし、この部分がなくなってしまったら
このシリーズの面白さが半減してしまうことも確かでして。アホだな~と呆れつつも面白く
読んでしまったのでした。人によっては「早く本題に入れ!」と激怒するところかもしれません
(苦笑)。
羽川さんはそのまんまでも十分萌え萌え女子高生なのですが、猫に憑かれてにゃんにゃん言葉
になった後は更に萌え度が300%くらいアップしております。アキバ系男子だったら間違いなく
悩殺されまくることでしょう。アキバ系男子ではないワタクシでさえ悩殺されそうだったの
ですから、推して知るべし。しかし、彼女の家庭環境があそこまで酷いとは思いませんでした。
完璧で誰からも愛されるスーパー優等生の羽川さんであるが故の、悲劇。あんまりです。彼女
の顔を傷つけた人物に対してはもう、人間とは思えないくらい嫌悪感を覚えました。暦が
いなければ、一生顔に傷が残ったかもしれず。許しがたい犯罪行為です。その人物に起こった
ことは完全に自業自得と捉えるべきでしょう。でも、この事件が終わった後で彼らの関係は一体
どうなっているのでしょうか。羽川さんは裏で何が起きていようとも、それを絶対表に出すひと
ではないでしょうから、もしかしたら事態は更に救いのない方向に向かっているのかもしれません。
化物語』では全くそんな暗い面は感じさせてないけれども。

化猫化してしまった羽川さんを救う為、ラスト、満身創痍で頑張る暦はなかなかかっこ良かったと
思います。でももっとかっこ良かったのは8歳の姿になってしまった金髪美少女のキスショット
かも。暦はニブくて彼女に憎まれてるとか思い込んでますが、なんだかんだ言って暦の窮地に
救いの手を差し伸べる辺り、完全にインプリンティングされちゃってる感じですね。ミスド
食いつくキスショットが可愛いのなんのって。萌え・・・(変態)。
忍野は今回いいところなしだったような。彼は彼で戦っていたのでしょうけれど、結局やられ
っぱなしで傷ついただけっていう・・・不毛だ^^;

しかし、しかしね。ほんとに思うんだけど、なんで阿良々木暦はラストでああいう決断を
下す訳?一旦認めたんじゃん!っていうか、やっぱり好きだったんじゃん!相手の意向も
聞かず、なぜ自己完結してしまったのか。むー。その辺りはやっぱり納得がいかないのでした。
素直になれよー。まぁ、そうなると『化物語』が全否定されちゃうことになるんだけどさ^^;
多分、暦の中で、羽川翼は恋人以上の別格な存在になってしまったのだろうね。ちと、残念です
(いや、別に相手がひたぎでも不満はないのですけどね・・・^^;)。

タイトルに『黒』がついてますが、巷ではすでに『白』編が発売されているようで。一体
どんなお話なんでしょうか。今回は黒羽川さんの物語だったから、次は白羽川さん?まさか
下着が白に変わるだけってことは・・・な、ないよね・・・と言い切れないところがこの
シリーズだったりして(苦笑)。予約中ですがまだまだ回って来るのは先になりそう。
気になるなー。巻末の刊行予告を見ると、まだまだシリーズは続くようですね。取り敢えず
偽物語』も読んでおきたいんだけどなー。図書館予約するかな。上下巻ってのがねぇ。
お仲間さん内ではあまり読んでる方を見かけませんが、巷では大変売れているようですね。
アニメ化が効いているのでしょうねぇ。この作品の中にもアニメ化を意識した記述がちらほら。
しかし、アニメであの不毛な会話部分は一体どこまで再現されているのでしょうか・・・。
気になります。