ミステリ読書録

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ウィリアム・カッツ/「恐怖の誕生パーティ」/新潮文庫刊

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ウィリアム・カッツ「恐怖の誕生パーティ(小菅正夫訳)」。

夫の誕生日に何か驚く事をしよう!と、妻は内緒で夫の過去を調べはじめる。ところが、小学校の
校長が語る夫は別人で、高校にも大学にも在籍していなかった。夫が見せてくれた大学の卒業証書も
偽物だと分かり、ついに軍隊に照会した妻は夫が名乗る名前の人物が戦死していた事を知る。
夫はいったい何者ー?(あらすじ抜粋)


どうもどうも。本日夏休み最終日のワタクシ、昨日和歌山から無事生還致しました。旅行記はまた
改めて書くとして、まずは旅行中に読んだ今月の一冊をご紹介。何せ、今日記事を書かないと、
7月の一冊にならないもので^^;
旅行もあって、予約本もいっぱいで、今月はお休みになるかと思いましたが、ギリギリで本書が
借りられたので、旅行に持って行って読んでました。
この本は、以前に月一企画でお薦めの海外作品を聞いたところ、ある方に教えて頂いた一冊で、
ずっと気になっていた作品。なんかB級映画みたいなタイトルが印象的で、気になってたんです
よね(笑)。読み終えてネット検索すると、かなり昔の作品で、読んだ人からは熱狂的に支持
されている作品のようです。

さて、内容ですが、新婚のサマンサが、愛する夫の為に誕生日パーティを企画するところから
始まります。サマンサは、夫には内緒で、誕生日最大のサプライズとして、夫が過去にお世話に
なった人々から、誕生日の祝辞をもらうことを思いつき、夫の過去を調べ始めます。けれども、
夫が在籍したと言っていた学校や会社には、彼の記録が一切ないことがわかります。サマンサは、
愛する夫が何者なのかわからなくなり、疑心暗鬼にかられていきます。それと並行して、毎年
12月5日に起きる殺人事件の犯人を追う刑事の行動を追って行くのですが、ある時、彼は、
サマンサと接触し、彼女の夫が12月5日生まれだということを知り、その夫こそが、長年彼が
追い続けていた殺人鬼なのではないかと白羽の矢を立てます。刑事は、サマンサに協力を仰ぎ、
夫の殺人の証拠をつかもうとするのですが・・・というのが大筋。なかなかに緊迫した展開で、
全く飽きずに読み続けることが出来ました。訳文も読みやすいし、筋が単純なので、海外ものが
苦手な私でも全然取っつきにくさを感じずに読み通せました。サマンサの夫が本当に刑事が追う
殺人鬼なのか?というのが作品のキモではあるのですが、そこは割と読者の想像通りでして。
夫視点の記述もあるから、それは明らかだとも云えるのですが、そこにどんでん返しがあるの
かな、と思っていたので、ちょっと拍子抜け。
ただ。この作品が評価されてるところは、何といっても、最後の1ページでしょうね。実は、この
人物に関して、絶対何かあるんじゃないか、とは思っていたんですよ。途中、もしかしてこっち
の方が犯人なのかも?とかも思ったりしていたのですが・・・こう来ましたかー!と、目が点に。
確かに、伏線的なものは後から考えると、ちょこちょこ提示されていたんですよねぇ。殺人鬼の
幼少時の回想シーンとかでも。
いやー、このラストは怖いです。映画化とかされてるのかな?いかにも映画的な内容と展開って
感じなんですが。映画だったら、間違いなく『衝撃のラスト!』って煽り文句だろうなぁ。
これもフィニッシング・ストロークの作品と言って差し支えないでしょうね。こういう作品は
大好きです。後味最悪ですけどね^^;
可哀想なのはヒロインですよね・・・今度こそ幸せになれるかと思いきや・・・ひー(><)。


名作と言われているのが頷けますね。面白かったです。
しかし、この邦題はちょっとどうなんだろうか^^;原題は『Suprise Party(びっくりパーティ)』
まぁ、内容を想像しやすい邦題ではありますけれど・・・私もこの邦題だから気になった訳
ですしね(苦笑)。